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SiCデバイスのEV搭載にはコスト低減が必須、6インチウェーハが鍵に車載半導体(2/2 ページ)

» 2012年08月03日 17時13分 公開
[朴尚洙,@IT MONOist]
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6インチSiCウェーハを使えば……

 しかし、既に量産が始まっている6インチ(150mm)サイズのSiCウェーハが安定供給されるようになれば、SiCデバイスのチップコストをかなり低減できる見込みだ。

 鶴田氏は、6インチSiCウェーハが安定供給されれば、そのコストが8インチSiウェーハの2倍程度に収まると想定している。そして、先ほどと同様に7mm角のSiCデバイスのチップの良品率が80%であれば、250個のチップが得られる計算になる。そして、チップ1個当たりのコストは、Siデバイスの1.2倍まで抑えられる。表1に、これらのコスト比較をまとめた。

ウェーハの種類とサイズ 8インチSiウェーハ 4インチSiCウェーハ 6インチSiCウェーハ
ウェーハコスト 1 2〜3 2
チップサイズ 12mm角 7mm角 7mm角
チップ数 150個 100個 250個
チップコスト 1 3〜4.5 1.2
表1 SiCデバイスとSiデバイスのコスト比較(デンソーの鶴田和弘氏の資料を基に作成)

 ただし、ここで問題になるのが80%という良品率である。現在量産されているSiCウェーハには、非常に微細な欠陥が存在しており、この欠陥密度によって良品率が左右されてしまうのである。ここまで例として挙げてきた7mm角のSiCデバイスは、EVやHEVのインバータに必要な電流容量200Aクラスのものだ。しかし、この7mm角のSiCデバイスで、80%という良品率を得るには、極めて欠陥密度が低い(=高品質の)SiCウェーハでなければならない。

 6インチSiCウェーハの安定供給と高品質化。EVやHEVのインバータにSiCデバイスを採用するには、まずこれらの条件がクリアされる必要がありそうだ。

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