FPGA大手のAlteraが20nm世代の半導体プロセスで製造する次世代FPGAに向けて開発中の技術の概要を明らかにした。超高速シリアルトランシーバと、3次元実装パッケージ、可変精度のDSPブロックの3つである。製品化の時期は2013年で、製品としての具体的な仕様はあらためて発表するという。
「20nm世代のFPGAは、通信/ネットワーク機器をはじめとしたハイエンドのエレクトロニクスシステムを統合し、実装するための究極のプラットフォームになる」――。FPGA大手ベンダーのAltera(アルテラ)は、20nm世代の半導体プロセスで製造する次世代FPGAに向けて開発中の技術の概要を発表した。(1)超高速シリアルトランシーバと、(2)3次元実装パッケージ、(3)可変精度のDSP(デジタル信号処理)ブロックの3つの技術である。
これら3つの技術を適用することで同社の20nm世代FPGAは、28nm世代のハイエンドファミリ「Stratix V」の最大規模品に比べて、単一パッケージで入出力信号の総帯域幅が2倍以上、システムの統合性が10倍以上、DSP性能が5倍以上に高まるという。さらに、消費電力については、低電力化に主眼を置いて最適化すれば最大60%の削減が可能だとする。
同社でSenior Vice President and Chief Technology Officer(CTO)を務めるMisha Burich氏は、「既に、主要なユーザーと20nm世代のFPGAに求められる要件などについて話し合っている」としており、今後は2013年第2四半期にも20nm世代品のエンジニアリングサンプルの出荷を始めて、同年末までに量産を開始する見通しだという。さらに、20nm世代品に対応したFPGA開発ツールについては、FPGA自体の出荷に先駆けて2013年第1四半期に提供を開始する計画だ。ただ、これらは現時点での予定であり、具体的なスケジュールについては、今後あらためて発表するという。
Alteraが20nm世代のFPGAで導入する3つの技術のうち、1つ目の超高速シリアルトランシーバについては、最大40Gビット/秒動作を実現するという。「既にテストチップが手元にあり、特性の評価を進めている」(CTOのBurich氏)。単一のボード上に実装したFPGAと周辺チップを直接つなぐ、チップ間インタフェースに向けたトランシーバである。現行の28nm世代品では、同用途のトランシーバで最大28Gビット/秒にとどまっていた。
さらに、20nm世代品のこの40Gビット/秒トランシーバは、電気的な配線を介したチップ間接続に加えて、光/電気変換機能を備える光トランシーバモジュールを介した光インタフェースにも応用でき、OIF(Optical Internetworking Forum)が定める共通仕様「CEI-40G」の「SR(Short Reach)」に準拠するという。現行品は「CEI-28G-SR」までしか満たせなかった。
この他に20nm世代品では、バックプレーン経由の接続に向けた28Gビット/秒動作のトランシーバも用意する。OIF仕様の「CEI-25G-LR(Long Reach)」に準拠する。現行品は14.1Gビット/秒が上限で、「CEI-10G-LR」までしか対応できなかったという。
なおAlteraは、これらの超高速シリアルトランシーバをFPGAのチップに混載する方針だ。すなわち同社は、トランシーバをFPGAとは材料やプロセスが異なる製造技術で用意して、パッケージ内で支持基板を介してFPGAチップに接続するという手法はとらない。「FPGAのロジックエレメントを集積する1枚のチップに混載した方が、高いシグナルインテグリティ(信号品質)が得られるなど、メリットが大きいと判断した」(Burich氏)。
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