スマートフォンやタブレット端末が急速に普及し、本格的に“ポストPC時代”に突入したと言われている。それを象徴するように、2012年第2四半期におけるDRAM出荷量のうち、PC向けが占める割合は、過去30年で初めて50%を下回った。
米国の市場調査会社であるIHS iSuppliによると、2012年第2四半期のDRAMチップ市場において、PC向けが占める割合が過去30年間で初めて50%を下回ったという。
世界全体のDRAM出荷量(ビット換算)においてPC向けが占める割合は、2012年第1四半期は50.2%だったが、2012年第2四半期は49%に縮小した。IHS iSuppliはこれについて、「テクノロジー産業が“ポストPC時代”に突入したことを示す兆候の1つだ」と説明する。DRAM市場全体におけるPC向けのシェアが半数を下回ったのは、1980年代以降初めてのことになる。1980年代は、DRAMをはじめとする各種半導体チップを最も多く搭載する製品として、PCが登場した時代である。
IHS iSuppliによれば、過去数十年にわたり、PC向けDRAMの出荷量は、DRAM出荷量全体に対して大きな割合を占めてきた。例えば、2008年初めから2011年末までのDRAM出荷量全体に占めるPC向けの割合は、平均で約55%だったという。
IHS iSuppliのアナリストで、メモリ需要予測を担当するClifford Leimbach氏は、「ポストPC時代が到来したとはいえ、PCが使用されなくなったり、PC市場の拡大が止まるというわけではない。ポストPC時代とは、PCがもはや世界のIT業界の中心ではなくなると同時に、エレクトロニクス業界のサプライチェーン全体に対するPCの優位性が低くなることを意味する」と述べている。
Leimbach氏によると、DRAMサプライヤは今後、PCに代えて、スマートフォンやタブレット端末に注力していくとみられる。
同氏は、「PC市場はもはや、主要なテクノロジー分野において需要や価格、技術動向などを単独でけん引することができなくなった。圧倒的な成長を生み出す市場規模を実現するのは無理だろう」と述べる。
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