車載リチウムイオン電池ベンチャーのA123 Systemsが、連邦破産法11条の適用を申請した。同社の自動車関連事業は、米国の大手自動車部品メーカーJohnson Controls(ジョンソンコントロールズ)に1億2500万米ドル(約99億2000万円)で売却される。A123 Systemsは、グリーン・ニューディール政策の一環で、米国エネルギー省の助成金を受けていた企業である。
米国の車載リチウムイオン電池ベンチャーA123 Systemsは2012年10月16日(米国時間)、連邦破産法11条の適用を申請したと発表した。連邦破産法11条は、日本の民事再生法に当たり、事実上の経営破綻となる。併せて、同社の自動車関連事業を、米国の大手自動車部品メーカーJohnson Controls(ジョンソンコントロールズ)に1億2500万米ドル(約99億2000万円)で売却することで合意したことも明らかにした。
A123 Systemsは、米国大統領のバラク・オバマ氏が推進していたグリーン・ニューディール政策の一環で、米国エネルギー省(DOE)から2億4900万米ドル(約197億6000万円)の助成金を受けていた。今回のA123 Systemsや、2011年8月に倒産した太陽光パネルメーカーのSolyndra(関連記事1)など、同政策から助成金を得ていた企業の経営破綻が相次いでいる。
2012年8月に、A123 Systemsは、中国の大手自動車部品メーカーである万向集団(Wanxiang Group)から、最大で4億5000万米ドル(約357億円)の出資を受ける方針を発表していた(関連記事2)。しかし、今回のジョンソンコントロールズとの合意により、万向集団と結んでいた法的拘束力のない覚書(MOU)は撤回する。
ジョンソンコントロールズが買収する自動車関連事業には、A123 Systemsの技術や製品、ミシガン州の2つの電池工場、中国の正極材料工場、上海汽車と合弁で立ち上げた電気自動車(EV)用電池の合弁企業Shanghai Advanced Traction Battery Systemsの権益などが含まれる。事業売却に併せて、ジョンソンコントロールズは、A123 Systemsに7250万米ドル(約57億5000万円)の資金援助を行う。A123 Systemsのスマートグリッド関連事業については、今後売却先を探すことになる。
A123 Systemsは2001年創業のベンチャー企業で、独自のオリビン型リン酸鉄リチウム(LiFePO4)ベースの正極材料「Nanophosphate」を使ったリチウムイオン電池で知られる。これまでに、Fisker Automotiveのプラグインハイブリッド車(PHEV)「Karma」や、上海汽車のハイブリッド車(HEV)「Roewe 750 Hybrid」などに採用されている。また、General Motors(GM)が2013年の発売を予定している小型車「Chevrolet Spark(シボレー・スパーク)」のEVモデルなどにリチウムイオン電池を供給する契約を結んでいた。
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