実践編(資料作成)の後半となる今回は、マニュアルや論文などの作成方法を紹介します。とはいえ、英語に愛されないエンジニアであるわれわれが、数十ページにわたる英語の資料など、そもそも書けるわけがない! というわけでアドバイスはただ1つ、「マネすること」です。さらに、「だけどマネだけではどうにもならない」と悩む皆さまのために、“江端的リーサルウェポン”も特別に公開します。
われわれエンジニアは、エンジニアである以上、どのような形であれ、いずれ国外に追い出される……。いかに立ち向かうか?→「『英語に愛されないエンジニア』」のための新行動論」 連載一覧
こんにちは、江端智一です。
今回は、前回に続き、英語での資料作成編の後半として、プレゼンテーション資料以外の資料である、マニュアル、論文、特許明細書、各種の仕様書などの作成方法についてお話したいと思います。
そんなにたくさんの種類の資料について説明できるのかと、いぶかしがる方もいらっしゃるかと思います。実は今回のアドバイスは、非常に単純明快なのです。その気になれば、3行もあれば説明できてしまう程度の内容です。
そもそもですね、英語に愛されないエンジニアであるわれわれが、英語で何ページにもわたる英語の文章を書けるわけがない。そりゃもう、「戦う前から負けが決まっている」ようなものです。もし、このような仕事が降ってきたら「断る」が正解ですが、もちろん、そんなことができるくらいなら、皆さんはこの連載を読んでいないと思います。
今回、私が皆さんに示す指針は、ずばり「マネ」、つまり「コピペ(コピーアンドペースト)」です。
エンジニアである皆さんは「マネ」とか「コピペ」という言葉に、ネガティブなイメージを持たれているかもしれません。しかし、それは誤解です。「マネ」こそが、創作の源、新しい価値のソースです。
そもそも、新規の発明によって産業の発展を目指すことを目的としている特許法自体が、「マネ」を奨励しているのです。特許法第一条には、「本法律は、発明の創作を奨励することによって、発明の利用を図り、もって産業の発達に寄与する事を目的とする」と記載されています。つまり、産業を発達させるためには、他人の発明を利用して(使い倒して)、そこから新しい価値を創作(発明)しろと言っています。発明者に最大限の敬意を払い、権利者に正当な対価を支払った「マネ」は、全く正しい行為なのです。
さて、今回私が提言するのは、「自分でゼロから英語資料を作成することはやめて、他の人が作ってくれた文献を、ありがたく利用させていただきましょう」ということです。
では、始めます。
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