Facebookが検索サービス「Graph Search」を開始した。当面はβ版での提供となる。FacebookのCEOであるMark Zuckerberg氏は、「Graph Searchは、Googleなどが提供するWeb検索とは根本的に異なる」と語るが、膨大な個人情報を抱えるFacebookの検索機能が、一般的なWeb検索とどのように異なる道をたどるのか、それはまったく分からない。
Facebookは本社の壁に、「Fail Harder(派手に失敗しろ)」というスローガンを掲げている。同社のソフトウェアエンジニアであるLars Rasmussen氏は、まさにこれを体現する人物なのではないだろうか。
米カリフォルニア大学バークレー校のコンピュータサイエンスで博士号を取得しているRasmussen氏は、最初に勤務した新興企業を解雇された後、同氏の兄弟と共同で、デジタルマップのプラットフォームを手掛ける会社を立ち上げた。カーナビゲーションシステムなどに向けたWebマッピングサービス「MapQuest」を追い抜くことを目指したというが、ドットコム不況のあおりを受け、資金の調達は困難を極めた。ところが、Googleがそのアイデアを気に入り、Rasmussen氏らが立ち上げた会社はGoogleに買収されることになった。同氏が当時開発したコードは、「Google Map」の基盤となっている。
同氏が次にGoogleに提供した大きなアイデアは、電子メールの後継を狙った「Google Wave」だった。しかし、これは失敗に終わっている。
その後、Googleを辞めてFacebookに入社したRasmussen氏は、過去2年間、検索機能の開発を担当してきた。ソーシャルネットワークの巨人であるFacebookは、長年にわたり、Webデータの中で個人の軌跡をもっと多く見つけられるようにしたいと考えていた。こうしたアイデアを実現できれば、最大のライバルであるGoogleを一気に追い抜けると考えたからだ。
Rasmussen氏は、Facebookの創設者でCEO(最高経営責任者)を務めるMark Zuckerberg氏に、自然言語を使ったクエリー機能に関するコンセプトを1年以上前に提示した。しかし、そのコンセプトを実現させるのは難しいとみられていた。
Rasmussen氏は、その当時を振り返り、「Zuckerberg氏は、『これを機能させるのは絶対に無理だ。しかし、もし実現できたとしたら、実に素晴らしい』と言った。これが、彼からの暗黙の挑戦となり、大いに刺激された」と語っている。
プロジェクトが始動し、週に1回ミーティングが開催された。Zuckerberg氏は、そのほとんどに参加したという。一方で、Zuckerberg氏がこのプロジェクトに本格的に関わり始めたのは、プロジェクトが終盤に差しかかったころであった。
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