Wi-Fiは間違いなく、高速通信技術として今後も利用され続けるだろう。ABI Researchによると、Wi-Fi対応機器の販売台数は、2012年だけで15億台を上回ったという。
ただし、それは同時に、干渉やWi-Fi対応機器の堅牢性に関する懸念が年々増えていくということも意味している。Silicon Imageは、この点に社運(そしてUltraGigも)を賭けるつもりだ。
Silicon ImageのVehling氏は、「UltraGigには、レイテンシ(遅延時間)が短く、映像品質に優れているという長所がある」と主張する。同氏は、「UltraGigは、レイテンシが5ms以下である。ゲームアプリケーションにとってこの利点は重要だ。さらに、H.264圧縮を行わずに、より優れた映像品質を実現できる」と付け加えた。
では、はたしてUltraGigは成功するのだろうか?
もちろん、ここでは「独自技術」対「標準規格」というありきたりな議論をしようとしているのではない。IHS iSuppliでシニアアナリストを務めるBrian O'Rourke氏は、「UltraGigの欠点は、Silicon Image独自の半導体ソリューションであることだ。現在のところ、UltraGigチップを提供する半導体メーカーはSilicon Imageだけだ。そのためコストが高くなり、UltraGig対応の機器を手掛けようとするメーカーにとっては、リスクが高くなる」と述べる。
同氏は、「Silicon Imageはこれまでのところ、あまり実績がないにもかかわらず、機器メーカーにUltraGigを売り込んでいる。だがSilicon Imageは今、ジレンマに陥っているようだ。同社は、大量生産することによってチップのASP(平均販売価格)を下げようとしている。一方で機器メーカーは、UltraGigチップのASPが下がってから、UltraGigに対応した製品を大量生産するかどうかを考えるという姿勢を取っている」と説明している。
O'Rourke氏は、「UltraGigチップを製造する半導体メーカーがもう1社でもあれば、PC/民生機器メーカーがUltraGig対応機器を手掛ける場合でも、リスクを下げることはできるだろう」と付け加えた。
しかし、UltraGigとMiracastのバトルは、予想もしなかった新たな展開に発展する可能性もある。
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