パイオニアとロームは、テラヘルツ波(100GHz〜10THzの周波数を持つ電磁波)を用いた透過イメージング(撮像)に成功したと発表した。テラヘルツ波を用いれば、物体内部の透過像を撮像できることから、現在X線を用いている空港の荷物検査などのセキュリティ分野への応用が期待されている。
パイオニアとロームは2013年3月25日、テラヘルツ波(100GHz〜10THzの周波数を持つ電磁波)を用いたイメージング(撮像)に成功したと発表した。テラヘルツ波は、光と電波両方の特性を兼ね備えており、物体内部の透過像の取得や分子相互作用の検出が可能なことから、セキュリティや分光分析の分野への応用が期待されている。例えば、X線透過像を用いている空港の荷物検査などへの適用などが想定されている。
今回両社は、ロームが2011年に開発した0.3THz(300GHz)のテラヘルツ波を発振/検出可能な半導体素子である共鳴トンネルダイオード(関連記事:「ロームが400GHz(0.4THz)を利用した高速無線通信を見せる」)と、パイオニアが光ディスクドライブ用ピックアップで培ってきた光学技術を基に開発したリレーレンズを組み合わせて、テラヘルツ波の集光が可能な共鳴トンネルダイオードモジュールを試作した。
テラヘルツ波による透過イメージングは、この共鳴トンネルダイオードモジュールを測定対象の前後に配置し、2次元走査して行った。測定対象は、クリップやコインなどを収納した不透明の樹脂ケースで、肉眼で中を見ることはできない。しかしテラヘルツ波を用いて撮像すると、X線透過像と同じように、樹脂ケースの中のクリップやコインの透過像が得られたという。
なお、この研究成果は、2013年3月27日から神奈川工科大学で開催される「第60回応用物理学会春季学術講演会」で共同発表される予定だ。
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