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「医療」の進化はエレクトロニクスが引っ張る! MEMSセンサー/USB 3.0などを提案MEDTEC Japan 2013 リポート(1/2 ページ)

「MEDTEC Japan 2013」では、医療を進化させる多様なエレクトロニクス技術の提案が行われた。特にセンシング技術や画像処理関連技術などに注目が集まった。

» 2013年04月26日 20時25分 公開
[竹本達哉,EE Times Japan]

 医療機器の展示会「MEDTEC Japan 2013」(2013年4月24-25日、東京ビッグサイト)では、多くの半導体/電子部品メーカーが医療市場向け製品/技術を出展した。体の状態を検知するセンサーデバイスをはじめ、医療分野でも普及拡大が見込まれる画像処理関連技術や無線通信技術などに注目が集まった。

遠隔治療に欠かせない「センシング技術」

 STマイクロエレクトロニクスは、体に常時身に着けて、心電図や心拍、呼吸数、運動量などの生体情報を計測できる「ボディ・ゲートウェイ」と呼ぶシステムを国内で初めて公開した。このシステムは、電極を備えた粘着シートと一般的な万歩計程度の大きさの端末で構成され、心臓近くの胸に取り付けて使用する。

「ボディ・ゲートウェイ」の装着イメージ(左) 電極の付いた粘着シートに金属製ボタンで端末を接続する (クリックで拡大)

 端末はバッテリー駆動で、32ビットマイコン「STM32」、3軸加速度センサー、オペアンプ、コンパレータ、バッテリー充電IC、Bluetooth通信用ICを搭載し、粘着シートの電極と接続することで心電図を採取できるほか、心拍や脈拍、呼吸数などを測定できる。加速度センサーで姿勢や運動量、歩行分析などのモニタリングも行える。測定したデータは、Bluetoothにより、携帯電話へ無線送信し、携帯電話が医療機関など遠隔のサーバーに転送、蓄積される。端末は1回の充電で丸1日程度動作し「2端末使うことで24時間の常時監視が行える」という。

 STマイクロによると、既にアメリカでこのボディ・ゲートウェイを使った治験が行われているという。システムを構成する主要部品は、全てSTマイクロ製品であり「当社が提供できる医療向けのソリューションを分かりやすく見てもらえるシステムであり、日本でも広く紹介していく」としている。

血管の動きによる体の揺れを検知する、心拍検知機器向けセンサー

BCG検出システムのデモ。靴を履いたままでも、血管のわずかな動きを検出する (クリックで拡大)

 村田製作所は、MEMS加速度/傾きセンサーの応用事例として心弾動(BCG)による心拍検知システムのデモを行った。心拍の計測は、体に直接電極を当てて計測するECG(心電図)による検知とともに、BCGによる検知がある。BCGは、心臓、血管の「動き」であり、センサーを肌に直接触れさせずに衣服越しなど間接的に測定することも可能だ。しかし、「BCGを使った心拍計は、あまり実用化されていない」(同社ブース説明員)と言い、その理由には「BCGの動きがわずかな動きで正確に検知できないため」という。

 今回、村田製作所がデモしたシステムは、体重計のような形状で、体重計同様システムの上に乗って、BCGを検知し心拍などを測定するもの。システムに用いるMEMS加速度/傾きセンサーは、0.001度の傾きを感知できる高い分解能を持ち、重力加速度も0.001G単位で測定でき、BCGの微動も検出可能という。システムには、BCG以外の大きな動きを取りのぞくフィルタリング技術も搭載。実際、靴を履いたままシステムに乗っても、心拍などを測定できた。同社は「ECGのような高い精度での測定は難しいが、一定の精度で心拍などを測りたい用途はある。例えば、ベッドにセンサーを設置し、患者検知や寝返り検知、呼吸計測といった用途での応用が見込める」としている。

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