Intelが発表したばかりの第4世代Coreプロセッサ「Haswell」。専門家からは、「幅広い分野に適用できる革新的なプロセッサ」という声がある一方で、「第3世代Coreプロセッサである『Ivy Bridge』よりも少し性能が良いだけ」といった見方もあり、評価はまちまちのようだ。
Intelは、台湾で開催されたコンピュータ関連の展示会「COMPUTEX TAIPEI 2013」(2013年6月4日〜8日)において、第4世代Coreプロセッサ「Haswell」を発表した。本稿では同製品に対する5人のアナリストの意見を紹介するが、その評価は賛否両論だった。「Haswellは、半導体エンジニアリングの偉業とも言える製品だ」という意見があった一方で、「低迷する従来型のPCメーカーにとっては復活の切り札にならないし、タブレット端末に大々的に採用されることもないだろう」との見方もあった。
Intelは2011年に、「Ultrabook」向けのキラーチップとしてHaswellを開発中であることを明らかにした。Ultrabookは、同社が提唱する超薄型/低消費電力をコンセプトとするノートPCである。Haswellはそのコンセプトに沿うべく、x86系プロセッサの中で最も消費電力が低く、22nm FinFETプロセス技術を適用した初めてのチップになる。
だが、Appleの「iPad」という強敵の出現によって、Intelは、Haswellの消費電力の目標設定を当初の計画よりもさらに低いレベルまで下げざるを得なくなった。IntelのHaswell開発プロジェクトの主任設計者は、「Haswellは、タブレット端末やノートPC、デスクトップPC、サーバなど、Intelがこれまでターゲットとしてきたあらゆる市場に対応できるプロセッサだ」と主張している。
Haswellは消費電力が6Wと低く、9時間の連続使用が可能だという。Haswellが実機に搭載されれば、ノートPCと一緒にACアダプタを持ち歩く必要がなくなるだろう。米国の半導体市場調査会社であるInsight64で主席アナリストを務めるNathan Brookwood氏は、「ACアダプタを持ち歩かずに済むことは、モバイル端末のユーザーにとって大きな意味を持つ」と述べている。
Haswellは、Intelの従来のオンチップグラフィックス製品と比べて、3次元グラフィックス性能が倍増した。ただし、消費電力を低減するために、x86コアの性能に関しては若干妥協せざるを得なかったという。
Brookwood氏は、「Haswellはほとんどのコンピューティング性能において、既存の『Ivy Bridge』よりわずかに良くなったにすぎない」と述べている。
同氏は、「性能に関しては、最速のAtomプロセッサと最も遅いHaswellの間には、依然として大きな差がある。同様に、バッテリ駆動時間についても、Atomの方が、最も低消費電力のHaswellよりもはるかに長い」と評価している。
さらに同氏は、「ARM陣営には、性能面でHaswellに匹敵する製品はない。一方、バッテリ駆動時間に関しては、Haswell陣営にはARM陣営に対抗できる製品はない」と付け加えた。
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