タブレット端末でテレビを見るユーザーの増加に伴い、モバイル機器のディスプレイで高精細な映像を表示するための技術開発が進んでいる。Appleの「iPhone」「iPad」向けに、映像を鮮明化するアプリを提供して成功したNXP Softwareも、そうした開発に取り組むメーカーの1つだ。
もしあなたが、「次に来るテレビは、50インチの4Kテレビだ」と考えているならば、「次に来るテレビは、小型のハンドバッグにもすっぽり収まるような7インチタブレット端末だ」という意見には賛同できないかもしれない。しかし、筆者は、タブレット端末は既にテレビに取って代わりつつあると考えている。
筆者が言う「次に来るテレビ」とは、いわゆる「テレビ」であって、米国の市場調査会社であるGartnerが「タブレット端末は、ソーシャルなテレビ体験を支える原動力になる」との予測で意味しているような“第2の映像機器”ではない。
タブレット端末を、SNS(ソーシャルネットワークサービス)で利用するユーザーは多い。だが、映画やテレビ番組を見るためにタブレット端末を使うユーザーもまた、多いのではないだろうか。
実際、多くのソフトウェア/ハードウェア開発企業は、「タブレット端末がテレビとして使われるようになる」という予測の下で、2013年以降の事業投資を行っている。
モバイル機器のディスプレイは高精細化が進んでいるが、コンテンツがそれに追い付いていない。高精細のディスプレイを備えたタブレット端末で動画を楽しもうとしても、動画の画質が低いことが多い。例えば、Appleの「Retinaディスプレイ」は、高精細なあまり、コンテンツ側の映像のひずみやキズなどが目立ってしまう。
現在、数社の半導体メーカーが、タブレット端末に特化したディスプレイプロセッサの開発に取り組んでいるという。これらのチップはまだ、市場に投入されていない。だが、画像処理用半導体を手掛けるPixelworksでプレジデント兼CEO(最高経営責任者)を務めるBruce Walicek氏は、先日行ったアナリストとのカンファレンスコールで、「モバイル機器における映像処理技術の重要性は今後、よりいっそう高まっていく」と述べている。
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