PC市場の低迷や価格の下落など、大きな課題に直面してきたDRAM市場だが、現在は、需要と供給のバランスが取れた状態で、堅調な成長を続けているという。製品価格も、約3カ月の間に大幅に上昇した。
世界DRAM市場は、困難な課題に直面しながらも、成熟した段階に到達した感がある。2013年のDRAM業界は、需要と供給のバランスが取れた状態になると予想される。
米国の市場調査会社であるIHS iSuppliが発行する「DRAM Dynamics Market Brief(DRAM市場動向の短観)」によると、2013年のDRAMウエハーの生産量(300mmウエハー換算)は、ピーク時から24%減となる1300万枚と予想されるという。DRAMウエハーの生産量のピークは2008年で、1640万枚だった。
2012年は、DRAMの生産量が8%削減された。2013年も引き続き、計画的に生産を縮小する計画だという。2013年の生産量は、2012年に比べて5%削減される見通しだ。
DRAMの生産を縮小することは、業界にとってプラスとなる戦略だ。この戦略によって、DRAMの需要と供給のバランスは段階的に正常化していくと予想される。現在、DRAM業界は意図的に出荷量を抑えて、回復傾向にある需要に対して出荷量がわずかに下回る状態を作り出している。この状態を保つことで、DRAM価格の安定を維持している。
2013年第1四半期のDRAM売上高は、過去2年間で最高を記録した。サーバやモバイルPC分野の需要増によって、商品価格が上昇したからだ。DRAMの価格指標となる4GバイトのDDR3モジュールの価格は、2013年3月に23米ドルに上がり、2012年12月の16米ドルから大幅に上昇した。
IHS iSuppliのDRAM/メモリ部門でシニアアナリストを務めるMike Howard氏は、「DRAM業界は、慢性的な供給過剰や、DRAMの主要市場であるPC分野での需要低迷など、大きな課題に直面してきた。だが、DRAM業界は成熟した段階に入っており、課題の多い市場状況にあっても成長できるように、構造的な変革を図っている」と分析する。
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