ソニー、東芝、パナソニック、Samsung Electronics(サムスン電子)の4社は、コンテンツ保護技術「SeeQVault(シーキューボルト)」を開発した。SeeQVaultで保護したコンテンツは、SeeQVaultに対応した再生機器であれば、どの端末でも再生できるようになる。
ソニー、東芝、パナソニック、サムスン電子は、コンテンツ保護技術「SeeQVault(シーキューボルト)」を開発した。さらに、SeeQVaultをライセンスとして提供する会社として、NSM Initiativesを2013年1月に米国で設立した。ライセンシー(ライセンス利用者)は、ストレージメディアのメーカーと、テレビなど再生端末のメーカーになる。
SeeQVaultは、コンテンツの暗号化に業界標準のAES(Advanced Encryption Standard)を採用し、対応機器/記録メディアの認証には楕円(だえん)曲線暗号を用いたPKI認証を用いている。また、記録メディアに用いられるフラッシュメモリには、複製防止を目的とした機密性の高い固有のID(EMID)を、製造時にチップごとに埋め込むことで強固なセキュリティを実現したという。
SeeQVaultはDTLAとDpa*)から記録メディアとして認可されたため、SeeQVaultで暗号化されたストレージメディアのコンテンツは、SeeQVault対応の再生機器であれば、どれでも再生できるようになる。SeeQVaultのコンテンツ保護機能は、ハードとして、あるいはソフトとして実装することが可能だという。
*)DTLA(Digital Transmission Licensing Administrator):ホームネットワーク向けの著作権保護技術「DTCP」の管理運用を行う団体
Dpa(The Association for Promotion of Digital Broadcasting):デジタル放送推進協会。地上デジタル放送やBSデジタル放送の送受信に関わる規格を推進している。
現在は、例えば、テレビと外付けHDDをいったんひもづけると、そのテレビ以外では外付けHDDに録画したコンテンツを見ることはできない。SeeQVaultを採用することで、テレビを買い替えた場合や、PCなどの他の再生端末でも、同じ外付けHDDのコンテンツを視聴できることになる。
4社がSeeQVaultを開発した背景には、地上デジタル放送への移行に伴うHDコンテンツの増加や、スマートフォン/タブレット端末の普及による視聴環境の変化がある。上述したように、外付けHDDのコンテンツを決まったテレビでしか見られないようでは、ユーザーにとって利便性が悪くなる。「録画/ダウンロードしたHDコンテンツを、いろいろな端末で再生したり、持ち出したりしたい、というニーズは確実に高まっていて、それに応えるべくSeeQVaultを開発した」(ソニー)。
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