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「Quark」の成功を狙うIntel、頼みの綱はArduino?ビジネスニュース オピニオン(1/2 ページ)

Intelが2013年9月に発表した、64ビットプロセッサ「Quark」。「Raspberry Pi」など安価なボードコンピュータの登場で、さらなる盛り上がりを見せるDIY(Do It Yourself)市場に、Intelは活路を見いだしたのだろうか。

» 2013年10月10日 07時00分 公開
[Rick Merritt,EE Times]

 2013年10月3日から6日まで、DIY(Do It Yourself)の展示会「Maker Faire Rome」がイタリア ローマで開催された。同展示会で、IntelのCEOであるBrian Krzanich氏と、オープンソースハードウェアプラットフォーム「Arduino」を開発するArduino LLCの創設者Massimo Banzi氏がともにステージに立ち、2社の協業について語ったことは、双方にとって大きなPRになった。

 Krzanich氏は、スマートフォン市場に乗り遅れるというIntel最大の失態を打ち消すべく懸命に取り組んでいる。Intelは2013年9月、64ビット版x86プロセッサ「Quark」と、Arduino LLCとの協業について発表した。世界市場を席巻する次なる注目製品が何であろうと、“絶対に乗り遅れまい”とするIntelの強い心構えが見て取れる。

 Arduino、もしくはより大規模なDIY型のサービスやモノのインターネット(IoT: Internet of Things)が、「次なる注目製品」かどうかは定かではない。とはいえ、その可能性は十分にあるので、Krzanich氏は、念のためにこれらの分野を押さえているのだろう。痛いところを突かないIntelのやり方は、ボードゲームの「モノポリー」で、止まった土地を全て買っていく戦略をほうふつとさせる。

 Intelは、Quarkを搭載するArduino互換の開発ボード「Galileo」を発表した際、Quarkの情報をわずかだけ提供している。Galileoに搭載されているQuark「Quark X1000」は、32ビットPentium互換のチップで、1コア1スレッド。動作周波数は最大400MHzである。設計はアイルランドで行われたという。

 現在でも、このチップの完全なデータシートは非公開となっている。ただし、少なくともGalileoに関する詳細なFAQは公表されている。

 Intelは2013年11月にGalileoの販売を開始するが、ハードウェアを自作する人々にとって60米ドルは少し高すぎるように思える。GalileoはPCI Expressのほか、10/100Mビット/秒のイーサネットとUSB 2.0も搭載している。

 Krzanich氏がビデオの中で語ったところによると、同氏はたった2カ月ほど前に、ある会話の中で「IntelはArduinoのエコシステムの一員となる必要がある」ことに気付いたのだという。Krzanich氏は、Intelがさらにもう1機種もしくは2機種のArduino互換ボードの開発を計画していると述べた。

 現時点では、Microchip Technologyもしくはルネサス エレクトロニクスは、両社が長年リードしてきたマイコン市場にIntelが参入してくることに懸念を示してはいないようだ。Galileoが、Microchipやルネサスをはじめとするメーカーが長年販売してきた製品をしのぐかどうかは、まだ分からない。

 いずれにせよ、今回の動きは、これまでIntelが目指してきた「かつてない速さの、よりパワフルなプロセッサの開発」とは逆方向である。こうした変化は、ハイエンドよりも、ローエンドプロセッサ市場の方が、より多様で新しいアプリケーションを掘り起こせる可能性があることを示しているのかもしれない。

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