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有機ELディスプレイ、“フレキシブル”に活路見いだすディスプレイ技術 有機EL(1/2 ページ)

フレキシブルな有機ELディスプレイの開発が進んでいる。市場も2014年以降に大きく成長すると予想されていて、2016年には自由に折り曲げられるものが登場するとの予測もある。

» 2013年10月28日 17時16分 公開
[村尾麻悠子,EE Times Japan]

 フレキシブルな有機ELディスプレイの市場が活発になっている。米国の市場調査会社であるIHS iSuppliによれば、同市場は2013年の2190万米ドル規模から、2014年には9480万米ドル規模に拡大する見込みだ。2015年以降も、さらなる成長が続くとみられている(関連記事:曲がる有機ELディスプレイ、市場は2014年に急成長へ)。また、LG Displayは2013年10月に、スマートフォン向けに6型のフレキシブル有機ELディスプレイを量産すると発表した。

 2013年10月23〜25日に横浜市で開催された「FPD International 2013」では、半導体エネルギー研究所が、4K対応の13.5型フレキシブル有機ELディスプレイを展示した。

半導体エネルギー研究所が展示した13.5インチのフレキシブル有機ELディスプレイ。解像度は3840×2160で、画素密度は326ppiである(クリックで拡大)

 半導体エネルギー研究所は、ガラス基板上で有機ELディスプレイを作成し、それをはがしてフィルム基板に貼り直すという方法で、このディスプレイを作った。同研究所は、これを「剥離転置プロセス」と呼ぶ。この方法には、通常のフラットパネルディスプレイを製造するときとまったく同じ工程を使えるというメリットがある。最初からフィルム基板を使う場合のように、製造工程における温度を気にする必要もない。

「剥離転置プロセス」の概念図(クリックで拡大)

 同研究所の担当者によれば、剥離転置プロセスで肝になるのが剥離層だという。「“はがす”と言うと簡単に聞こえるが、きれいにはがすには剥離層の材料をはじめ、ノウハウが必要になる。剥離技術を長年にわたり研究してきた当研究所だから、剥離してフィルム基板に貼り直すというプロセスを開発できた」と話す。さらに、剥離層に無機材料を用いているのもポイントだ。「ポリイミドなどの有機材料を使うと、製造工程の温度に制限がかかってしまう」(半導体エネルギー研究所)。

 半導体エネルギー研究所は、剥離技術を用いて600×720mmの基板を剥離することに成功している。ディスプレイでいえば、32〜34インチ前後に当たるサイズだ。剥離転置プロセスによって、30インチ前後のフレキシブル有機ELディスプレイを量産できる可能性は高いという。

やや見にくいが、剥離転置プロセスを用いてTFTをフィルム基板に貼り付けたもの(クリックで拡大)
その他、半導体エネルギー研究所は、フレキシブル有機ELディスプレイを巻き付けたスマートフォンなども展示した。スマートフォンの“上面”や“側面”にも、表示ができるようになる(クリックで拡大)
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