省エネ性能ランキングで世界一となった、東京工業大学のスーパーコンピュータ「TSUBAME-KFC」。消費電力の低減の鍵となったのは、油浸冷却システムの採用である。
東京工業大学が開発したスーパーコンピュータのプロトタイプ「TSUBAME-KFC」は2013年11月、スーパーコンピュータの国際会議「SC-13」で発表された電力効率のランキング「Green 500」「Green Graph 500」において1位を獲得した。両ランキングで日本のスーパーコンピュータが1位になるのは初めてで、さらに、二冠を達成したのは世界でも初めてだという。
TSUBAME-KFCは、2015年度末に稼働が予定されている「TSUBAME3.0」のプロトタイプである。40台の計算ノードと、それらを接続するFDR InfiniBandで構成されている。各ノードは、1UサイズのサーバにIntelのプロセッサ「Xeon E5-2620」を2基、NVIDIAのGPU「Tesla K20X」を4基搭載している。
Green 500で、TSUBAME-KFCが達成した電力効率は、4.508GFLOPS/W。最新の実用機である「TSUBAME2.5」の3.069GFLOPS/Wに比べて47%向上している(関連記事:スーパーコンピュータも省電力を競う、世界一になった「TSUBAME」)。電力効率が大幅に向上した鍵となっているのが、TSUBAME-KFCで新たに導入した油浸冷却システムだ。米国のベンチャー企業Green Revolution Cooling(GRC)が開発した冷却システムで、計算ノードを油に浸し、その油を循環させて冷却する。TSUBAME-KFCでは、この油浸冷却システムと、冷却塔による大気冷却を組み合わせている。
東京工業大学は、「水冷や空冷は、そもそも冷却に使う空気や水を冷やす必要があり、これで相当な電力を消費する。油は水よりも比熱が高い(熱を奪う力が強い)ので、水冷に比べて効率よく冷却できる」と述べる。TSUBAME2.5では水冷と空冷の両方を利用している。
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