ノートPCなどのストレージとして急速に市場が拡大しているSSD(Solid State Drive)。その信頼性に対するイメージはHDDと比較されることが多いが、「平均故障間隔」と「年間故障率」の数値を単純に比較すればいいというわけではない。そこで今回は、SSDの寿命にかかわる要素を解説する。
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SSD(Solid State Drive)は、ノートパソコン(ノートPC)のストレージやデータセンターの最上位ストレージとして急速に市場を拡大させつつある。市場調査会社のテクノ・システム・リサーチによると、2012年のSSD出荷台数(世界市場)は2910万台で、その半分を超える1930万台をノートPCが占めた。2015年にはSSDの出荷台数は1億台近くにまで増加すると予測されている。
SSDの信頼性に対するイメージは、HDDとの比較で語られることが少なくない。騒音がない(PCの起動音がない)、PCの起動時間が短い、読み書きが速い、衝撃に強い、書き換え回数に制限がある、といったものだ。
SSDは、数多くの部品で構成される。本連載の第2回で説明したように、数多くの部品で構成されているシステムの故障率(単位時間内に故障する確率)は「バスタブ曲線」に従う。SSDもHDDと同様に、バスタブ曲線の考え方をベンダーは採用している。
バスタブ曲線では、故障率は時間経過とともに変化する。始めは「初期故障期」で、故障率が比較的高いところから時間経過とともに急速に下がっていく。故障率があるところまで下がると「偶発故障期」に入る。偶発故障期では、故障率はほぼ一定である。この期間が普通は、何年間か続く。そしてある時点からは故障率が上昇していく。部品が劣化することで故障率が増加するからだ。この時期を「摩耗故障期」と呼ぶ。
偶発故障期の長さを寿命としていること、偶発故障期における故障率をMTBF(Mean Time Between Failure)またはAFR(Annualized Failure Rate)で表記していることも、SSDとHDDで共通である。エンタープライズ向けではSSDとHDDはともに、MTBFで200万時間、AFRで0.44%を達成している。
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