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岐路に立つIBMの半導体事業 〜従業員はどう捉えているのか〜工場売却の可能性は高い?(2/3 ページ)

» 2014年06月27日 14時30分 公開
[Rick MerrittEE Times]

 2013年7月に解雇された元従業員は、多くのIBM社員が抱いている共通の不満として、「IBMは、製造工場に最新設備を導入するための投資を怠っている」ことと、「事業計画についての説明がほとんどない」ことを挙げた。その一例として、米バーモント州バーリントンの製造工場は、最小限の投資で最大の利益を生み出す収益性の高い工場だったにもかかわらず、半導体事業の売却または撤退を検討せざるを得なくなるまで、同工場への投資が行われなかった」ことを挙げている。同従業員は、「IBMは、以前のような、情報が末端まで下りてくる透明性の高い企業ではなくなってしまった」と話す。

 別の従業員は、「それよりも大きな問題は、IBMが時代から取り残され、従業員の士気がそがれたことだ」と別の元従業員は指摘する。

 この元従業員は、「IBMはいまだに1950年代のような終身雇用制度を採用し、技術者は達成した成果を全て会社に提供しなければならない。このような雇用形態は、最近の若者にはそぐわない。彼らは、成果は自分のものと考え、その成果を基に独自の道を進むことを望んでいる」と語っている。

 実際に、IBMの人工知能(AI)「Watson」の開発チームを率いていたDavid Ferrucci氏は2013年末にIBMを辞め、米国のヘッジファンドBridgewater Associatesに移っている。Ferrucci氏は現在、カスタムAIアルゴリズムの開発に携わっていると思われる。

 米国の市場調査会社であるVLSI ResearchでCEO(最高経営責任者)を務めるG. Dan Hutcheson氏は、「IBMが1990年代に半導体事業を縮小し始めたのと同時に、従業員の士気も下がっていった」と語る。

 2014年2月にIBMが製造工場の売却先を探しているというニュースが報じられると、従業員の不安はさらに増した。「取引が行われることを早く知ることができれば、その取引に関する情報を入手しやすくなる。従業員が今後の身の振り方を考える上で、これは重要なことだ」とHutcheson氏は述べる。

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