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NEDOの考える“本当に使えるセンサー”センシング技術(1/2 ページ)

新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)とNMEMS技術研究機構(以下、NMEMS)は2015年2月4日、「グリーンMEMS(微小電気機械システム)センサー」を開発し、同センサーを用いたエネルギーマネジメントシステムの実証実験を行った結果、10%以上の省エネ効果を確認したと発表した。

» 2015年02月04日 17時00分 公開
[竹本達哉EE Times Japan]

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)とNMEMS技術研究機構(以下、NMEMS)は2015年2月4日、「グリーンMEMS(微小電気機械システム)センサー」を開発し、同センサーを用いたエネルギーマネジメントシステムの実証実験を行った結果、10%以上の省エネ効果を確認したと発表した。

期待ほど普及しないセンサー

 NEDOとNMEMSの両者は、2011年度から「グリーンセンサ・ネットワークシステム技術開発プロジェクト」(現・社会課題対応センサーシステム開発プロジェクト)に取り組んできた。同プロジェクトの目的は端的に言えば「使えるセンサーを作る」だ。NEDOロボット・機械システム部の奥谷英司氏は「当初、予測されたほどセンサーネットワーク技術が普及していない。普及しない理由を解決することを目的にスタートした」とする。

プロジェクトの全体像 (クリックで拡大) 出典:NEDO

 従来のセンサーが普及してこなかった要因として両者は、

  • センサーの大きさ、設置面積などによる設置箇所や設置個数の制約があること
  • 電源や通信を有線で配線すると設置工事で大きな負担が必要なこと
  • 電池を内蔵して無線にする場合、現状のセンサーや送信技術では電力消費が多く、電池交換などのメンテナンスが必要なこと

という3点を挙げる。

普及の課題を全て解決したセンサーを開発

 これらを解決するセンサーとして、「無線通信機能」「自立電源機能」「超低消費電力機能」を搭載し、小型でケーブル/電池レス、メンテナンスフリーの設置しやすいセンサーの開発を進めてきた。

 その結果、これら要件を満たす5種類の「グリーンセンサー端末」を開発した。電流/磁界センサー、二酸化炭素(CO2)センサー、塵埃(じんあい)センサー、赤外線アレーセンサー、VOC(揮発性有機化合物)センサーの5つだ。それぞれ、太陽電池などエネルギーハーベスティング技術による自立電源構成や無線通信技術に対応させ、2×5cm程度(発電素子除く)の小型サイズを実現させた。

開発したグリーンMEMSセンサー (クリックで拡大) 出典:NEDO
左が電流センサー、右が赤外線アレーセンサー (クリックで拡大) 出典:NMEMS技術研究機構

 無線通信技術では、「ZigBeeやBluetooth Low Energyなど既存の無線通信技術は安定した通信を行うなどの信頼性を保つ機能が含まれ、送信時間が長く、消費電力が大きい。長期間のメンテナンスフリーを行うためには、より送信時間を短くし、消費電力を抑える必要がある」(NMEMS プロジェクトリーダー 前田龍太郎氏)として、独自の無線通信プロトコルを開発。信頼性を担保する機能の大半を省き、ID(個体識別信号)など必要最小限のプロトコル通信にとどめ、さらに通信方向を一方に限り、通信レートも抑えるなどして、「通信に必要な消費電力を大幅に小さくした」とする。

開発した低消費電力無線技術のイメージ (クリックで拡大) 出典:NMEMS技術研究機構

 「従来の無線技術に比べ、信頼性は劣るのは事実。ただ、90%程度の割合で通信が行える品質はあり、ターゲットにしているエネルギー監視などの用途では十分だろう。セキュリティに関しても、万が一、盗聴されても支障のない情報を伝達する用途向けであり問題ない」と、センサーで検知したデータを送ることだけに割り切った無線となっている。なお、使用周波数帯は920MHz。

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