最近はそこまでの盛り上がりを見せていないスマートグラス市場。「Google Glass」でさえ民生機器として勝負するのは難しかったようで、Googleを含め、スマートグラスメーカーは、ターゲットを民生用途から産業用途に移しつつある。
2015年3月9日〜11日に米国カリフォルニア州サンタクララで開催された「Wearables TechCon」の出展者によると、ウェアラブルコンピューティングを最初にけん引するのは民生機器ではなく産業機器だという。中でも、セイコーエプソン、Google、ソニー製のスマートグラスがこうした用途で早期に採用される見込みだ。
同イベントでは、スマートウオッチやスマートグラスの他、フレキシブルプリント基板を含むウェアラブル向け部品が披露された。これまで、ウェアラブル端末というのは、中身よりもコンセプトに注目が集まる傾向があった。“聞こえのよい”機能が話題になっていたということである。
スマートグラス向けのジェスチャおよび制御ソフトウェアの開発を手掛ける新興企業AugmentaのCEOであるTero Aaltonen氏は、「Googleは、『Google Glass』のプロジェクト自体を中止したわけではなく、一般ユーザーをターゲットから外しただけだ。同社は次のバージョンのGoogle Glassの開発を続けている」と述べている。
Aaltonen氏は、「Googleのスマートグラスは、セイコーエプソンの『MOVERIO(モベリオ)』やVuzix製のアイウェアと同様にビジネス用途での実用を模索している」と述べた。例えば、ドイツの物流メーカーDHLでの実験プロジェクトでは、社員が荷物の特定や仕分けにGoogle Glassを用いると、作業効率が通常のハンドヘルド型コンピュータよりも25%向上することが分かったという。
Aaltonen氏は「スマートグラスは、まず物流の分野で使用されると思われる」と見込んでいる。
Augmentaは、2014年11月からAndroid機器のジェスチャ制御を可能にするソフトウェアを出荷している。2015年6月には、ユーザーの手のひらにキーパッドを映し出すなど仮想的な制御機能を追加する計画だ。
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