メディア

ノイズを32%低減! 非同期タイムインターリーブ技術採用70GHzオシロテスト/計測 オシロスコープ(2/3 ページ)

» 2015年03月29日 10時00分 公開
[馬本隆綱EE Times Japan]

対称な信号経路に信号の全スペクトラムを取り込む

 DPO70000SX型は、従来の周波数インターリーブ技術ではなく、同社が独自に開発したATIと呼ぶ時間インターリーブ技術を用いている。ATI技術では入力信号の全ての帯域を、対称な2つの信号経路でデジタイズし、A-D変換されたデータがメモリに保存された後、DSPで再結合して元の信号を再現する仕組みだ。

ATIの回路ブロック図と、主なポイントにおける信号のスペクトル成分 (クリックで拡大) 出典:テクトロニクス

 具体的には、全ての信号帯域がプリアンプに入力され、2つのプリサンプラを用いてミキシングを行う。今回採用しているATIブロックでは、入力された70GHzの信号を75GHzでサンプリングする。サンプリング周波数が2倍以下となるため、エリアシング信号が発生するが、ATI技術ではこの信号も活用して処理を行う。70GHz信号のうち37.5GHzを超える上半分はDC〜37.5GHzの範囲に折り返される。これは、後段に採用しているA-Dコンバータのサンプリングレートが100Gサンプル/秒であり、A-Dコンバータのナイキスト帯域内に収めるためだ。

 プリサンプラの出力は、37.5GHzを中心に下側バンドレンジに折り返された上側バンドの差分スペクトラムと、上側バンドレンジに重畳された下側バンドのスペクトラムが加えられたスペクトラムが含まれている。この後、それぞれの信号はローパスフィルタを用いてフィルタリングされる。この時、37.5GHzより上側のバンドレンジは除去され、折り返された上側バンド成分を含む下側のバンドは通過する。

 ローパスフィルタを通過した信号は、トラック&ホールド回路を経由して、A-Dコンバータで処理を行う。そして、2つの対称な信号経路で処理したデータをDSPで加減算や結合のための処理を行い、元の信号を再生する。ATIブロックにある2つのプリサンプラは、位相を180°ずらして信号を入力している。このため、信号を最後に結合する際に、180°位相がずれたスペクトラム部分はキャンセルされる。これによって、オシロスコープに取り込まれたDC〜70GHzの信号成分のみが残ることになる。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

RSSフィード

公式SNS

All material on this site Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
This site contains articles under license from AspenCore LLC.