情報通信研究機構(以下、NICT)は、波長が200〜300nmの深紫外波長帯において、最高光出力90mW超を達成した深紫外LEDを、トクヤマと共同で開発した。可搬型ウィルス殺菌システムなどへの応用が期待される。
情報通信研究機構(以下、NICT)は2015年4月、波長が200〜300nmの深紫外波長帯において、最高光出力90mW超を達成した深紫外LEDを、トクヤマと共同で開発したことを発表した。ウィルス殺菌や飲料水/空気の浄化、光加工、樹脂硬化、環境汚染物質の分解といった用途に向ける。
開発した窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)系深紫外LEDは、殺菌効果が最も高いといわれている265nmの波長について、室温・連続動作で90mW超の光出力動作を実現した。NICTは「深紫外波長帯のLEDで世界最高出力を達成した」と主張する。外部量子効率としても、発光波長270nm以下において最高値となる6.3%(200mA時)が得られたという。
深紫外LEDは、光取り出し面となるAlN基板表面上に、2次元フォトニック結晶とサブ波長ナノ構造を組み合わせたハイブリッド光取り出し構造を作製した。この構造を用いることで、AlN基板で課題となっていた基板表面での全反射を抑制することが可能となる。AlN基板のフラット表面側から取り出すことができる光取り出し効率は、一般的に約4%と低いが、今回は独自のハイブリッド構造を開発/採用したことで、全反射の抑制に加えて、フレネル反射の低減にも成功している。この結果、光取り出し効率は加工を施していないフラット表面の場合に比べて196%の向上になるという。
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