QLogicは、ストレージ機器でのフラッシュメモリ採用の流れを受け、FCアダプター市場でのシェアを拡大するとともに、2014年にBroadcomから買収した転送速度10Gビットを超える高速イーサネットアダプター/コントローラLSI事業の強化を図っている。
ファイバーチャネル(以下、FC)アダプター/コントローラLSI大手のQLogicは、ストレージ機器でのフラッシュメモリ採用の流れを受け、FCアダプター市場でのシェアを拡大するとともに、2014年にBroadcomから買収した転送速度10Gビット(以下、Gb)を超える高速イーサネットアダプター/コントローラLSI事業の強化を図っている。「いち早くサンプル出荷を開始した100Gbなど次世代高速イーサネット用アダプターを強みに同市場で現状、19%のシェアを数年後に30%に引き上げることを目指す」(社長兼CEOのPrasad Rampalli氏)とする。
QLogicは、サーバやストレージ機器間の高速インタフェースであるFC用のコントローラLSI、アダプターを手掛ける企業。市場調査会社(Dell'OroグループとCrehan Research)の調査によると、2003年から2014年まで11年連続でFCアダプター販売額でトップシェアを維持しているという。
FC市場自体は近年、縮小傾向にある。高速シリアルインタフェースであるSAS(Serial Attached SCSI)が、FC市場を侵食しているためだ。
ただ、QLogicのRampalli氏は、「FCの市場規模の縮小は、歯止めがかかり、2015年以降は大きな成長は望めないものの、現状の市場規模を維持していくだろう」との見方を示す。
その根拠が、フラッシュメモリ採用ストレージの急速な普及拡大だ。従来のHDDに対して「破壊的技術」(Rampalli氏)という高速な読み出し/書き込み性能を誇るフラッシュストレージにより、「インタフェースも、少しでも高速なものが求められる傾向が一層強まっている」とし、台頭著しいSASよりも転送速度で上回るFCに堅い需要があるとみているのだ。
現状、12Gb世代が到来しつつあるSASに対し、FCは既にQLogicがGen5と呼ぶ16Gb世代が主力世代。さらに、32GbのGen6についても、既にQLogicはサンプル出荷を開始済み。Rampalli氏は「競合のFCアダプターベンダーより6〜12カ月は先に進んでいるだろう。現状、(サンプルを提供している)顧客からの反応もよく、近く量産出荷できるだろう」という。
他社に先駆け、高速なFCアダプターを投入してきた結果、FCアダプター市場でのシェアは上昇傾向にあり、Rampalli氏は「特にフラッシュストレージ向けでは圧倒的なシェアを誇っている」と主張する。「われわれも参加しているフラッシュストレージ機器のインタフェースのPCI Express化を進めるコンソーシアム『NVM Express』でも、SCSIではなく、FCを使った規格が策定されている。フラッシュストレージ向けFCアダプター/コントローラLSIで圧倒的なシェアを維持していければ、ビジネス拡大が期待できる」とする。
とはいえ、FC市場全体では大きな成長が見込みにくい中で、QLogicはFC向け事業と並ぶ成長エンジンへの投資を積極化させている。
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