これまで何度となく“終えん説”が唱えられてきたムーアの法則だが、半導体業界は多大な労力でこの法則を維持している。今後、ムーアの法則はどうなっていくのか。業界のキーマンに、ムーアの法則の行方や、ムーアの法則の維持に関わる技術などについて話を聞いた。
1965年4月19日、エレクトロニクス系の雑誌「Electronics」は、Gordon Moore(ゴードン・ムーア)氏による、ある見解を掲載した。「半導体の集積密度は、18〜24カ月で2倍になる」というものである。いわゆる、ムーアの法則だ。
それから50年がたった今、エンジニアが何とかこの法則を維持しているおかげで、半導体部品は飛躍的に進化を遂げた。
半導体業界のアナリストであるRobert Maire氏は、最近のニュースレターに、ムーアの法則に沿うことは、「単にPCの高速化と低価格化につながるだけでなく、通信機器からスマートフォン、タブレット端末に至るまで、無限の新しいアプリケーションを生み出すことにつながる」と述べている。同氏は、「半導体技術ほど、これだけ多くの人々の日常生活に大きな影響を与える分野はないだろう」と続けている。
VLSI Researchのチーフエグゼクティブを務めるG. Dan Hutcheson氏は、「もしICが発明されず、ムーアの法則も生まれなかったとしたら、世界経済から約1/5の資産が消えることになっていただろう」との見解を述べている。
Intelの製造部門のフェローであるMark Bohr氏にとって、ムーアの法則は、Intelが長年にわたり最大手の半導体チップメーカーであり続けるための根幹だという。
Bohr氏は、「私がIntelに入社する1978年には、ムーアの法則は既にIntelのカルチャーとして根付いていた」と話す。「1つの見解であったムーアの法則は、われわれを導く指標となっていた。そして、可能であれば、他のどこよりも速くその法則に従ってチップを開発することが目標となった」(同氏)。
EE Timesは、半導体技術の発展に深く関わっている複数のキーマンにインタビューを行い、ムーアの法則の行方について尋ねた。
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