物質・材料研究機構(NIMS)を中心とする研究チームは、アナターゼ型酸化チタン(以下、アナターゼ)の表面を原子レベルで可視化して、原子や欠陥の種類を特定することに成功した。今回の成果は、光触媒や太陽電池などに用いるエネルギー材料の変換効率をさらに向上させることができる技術として期待されている。
物質・材料研究機構(NIMS)を中心とする研究チームは2015年6月、アナターゼ型酸化チタン(以下、アナターゼ)の表面を原子レベルで可視化して、原子や欠陥の種類を特定することに成功したと発表した。アナターゼは、光触媒や太陽電池に用いられるエネルギー材料として注目されている。今回の成果は、エネルギー変換効率のさらなる向上に貢献するとみられる。
今回の研究チームは、NIMS先端的共通技術部門の極限計測ユニット原子間力プローブ計測グループのグループリーダーを務めるクスタンセ オスカル氏と清水智子主任研究員、同ユニット表面物性計測グループのグループリーダーを務める藤田大介氏と鷺坂恵介主任研究員、チェコのカレル大学、及びスペインのマドリード自治大学の研究グループなどからなる。
研究チームは、自然界にある石から切り出した試料を基に、原子レベルで平坦かつ清浄にすることで研究用の試料を作成した。この試料を原子間力顕微鏡(AFM)と走査型トンネル顕微鏡(STM)を同時に用いて、アナターゼ表面を単原子レベルで観測した。ただし、アナターゼ表面は複雑な構造となっており、そのままではAFM像に現れた楕円形の輝点がどの原子であるかを特定することはできなかった。
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