Nordic Semiconductorは、Bluetooth Smart用RF回路とCPUコアなどマイコンの要素を1チップ化したBluetooth Smart SoC「nRF52シリーズ」を発表した。ARM Cortex-M4Fコアを搭載するなど性能を高めた他、ユニークな消費電力低減技術を多く盛り込んだ。
近距離無線用半導体デバイスを手掛けるNordic Semiconductorは、次期主力製品として、Bluetooth Smart用RF回路とCPUコアなどマイコンの要素を1チップ化したBluetooth Smart SoC「nRF52シリーズ」を発表した。「現状、Bluetooth Smart用RF ICとマイコンの2チップで構成しているシステムの多くを1チップ化できる製品。Bluetooth Smartデバイス市場の“第2のゲームチェンジャー”になるだろう」(同社アジア太平洋地区担当セールス&マーケティングディレクター Ståle Ytterdal氏)と期待を寄せる。
“第2のゲームチェンジャー”とは、同社が2012年に発売した「nRF51シリーズ」に続いて市場に変化をもたらすという意味だ。“第1のゲームチェンジャー”とするnRF51シリーズはBluetooth Smart用RF回路とARM Cortex-M0コアを搭載したデバイスで、RFとマイコンの両機能を果たすBluetooth Smart SoCの概念を打ち出して、投入した。
nRF51シリーズは、機能集積とともに、「SoftDevice」と呼ぶ独自ソフトウェア構造を採用。アプリケーションソフト部と、無線通信に関わるスタックソフトウェア部を完全に切り離し、ユーザーはアプリ開発に集中できるという仕組みを実現した。
これにより、無線通信に関する知識を持たなくても、Bluetooth Smart対応機器を作ることができるようになり、スマートフォンと連携するさまざまな機器を中心に受注が拡大。年々、nRF51シリーズを中心としたBluetooth Smart関連デバイスの売上高は伸び、2014年には全社売上高の38%となる6300万米ドルを占めるまでに成長した。Ytterdal氏は「nRF51シリーズの開発キット販売数は今も急速な伸びを示しており、今後も一層、売り上げは拡大する」と先行きを示す。
nRF51シリーズは、Nordicのビジネス拡大に寄与するだけでなく、Bluetooth Smart用デバイス市場にも大きな変化をもたらした。Bluetooth Smart用RF回路とマイコン機能を一体化した製品が各メーカーから投入され、1チップの流れを生み出した1つのデバイスとなった。
このnRF51シリーズに続く、新シリーズとして投入するのが、nRF52シリーズだ。競争が激しくなるBluetooth Smart用SoC市場の中で、新たなゲームチェンジャーと位置付け、独自色の強い製品として2015年12月から量産する予定だ。
nRF52シリーズの最大の特長は、ARM Cortex-M4Fコアを搭載したことだ。同コアはDSP命令、浮動小数点演算に対応するCPUコアであり、マイコン分野では主にハイエンド製品に適用されるコア。nRF52シリーズの第1弾製品となる「nRF52832」では64MHzで動作させる。加えて、性能向上を図るため、内部バスも見直し、新たにAHB Liteバスなどを採用している。
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