シリーズ最終回となる今回は、これまでの内容をまとめてみよう。トランジスタの将来像から、消費電力と性能のバランスの取り方、微細化(スケーリング)の余地の拡大まで、ひと通り振り返る。
ARMが7nm CMOS時代のCPU設計を解説した講演の紹介レポートも、今回が最終回になる。講演は最後のまとめに入った。まず、講演の途中で小さなまとめとして挿入した講演スライド5枚を、再掲した。
初めの講演スライドでは、IEDMの発表が次々世代以降のCPU開発でトランジスタ選択を決める重要な指針であることを示すとともに、物理設計の基本となるスタンダードセルのレイアウトとデバイス寸法の関係を説明した。
次のスライドでは主に、論理設計と物理設計の協調設計による最適化が、14nm世代以降のCPU設計では必須になることを示した。電流駆動能力の大きなセルや高さの違うセルなど、目的に合わせて数種類のスタンダードセルを使い分けていく。
3枚目のスライドでは、今後の物理レイアウトを支えるPTM(Predictive Technology Modeling)を説明した。プロセスのばらつき、電源電圧の変動、温度の変動の、重要な3つの変動要因に対処する必要がある。またトランジスタのばらつきよりも、多層配線のばらつきが半導体チップの性能を左右するようになる。
4枚目のスライドでは、10nm世代以降のトランジスタの姿を展望した。LSI設計では論理設計と物理設計の協調があらゆるパラメータに及ぶようになる。高いキャリア移動度を備えるチャンネル材料の採用が現実味を帯びてくる。
5枚目のスライドでは、トランジスタ以外の微細化(スケーリング)に関わる諸問題を取り上げた。フラッシュメモリとSRAMの微細化、多層配線の微細化は、いずれも困難になる。既存技術である3次元ICは助けにはなるものの、根本的な解決方法ではない。
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