Intel(インテル)とMicron(マイクロン)がこのほど発表した不揮発性メモリ「3D XPoint」は本当に相変化メモリの1つなのか? 筆者が特許をウェブで検索したところ、この見方を裏付ける結果となった。
IntelとMicronは、2015年7月28日に発表した3D XPointで用いる材料や効果を及ぼすスイッチング・メカニズムについて明らかにしない方針だ。だが、2Xnmや1Xnmの製造プロセスで実装されたのが相変化メモリ(Phase Change Random Access Memory/PCM)であることの状況証拠はいくつか存在する。
3D XPointを4F2メモリセルとして仮定した場合、128Gビット容量で640億個の2層構造メモリセルという発表された情報を基に、典型的なメモリダイサイズとして計算すると、2Xnmのプロセスとみられる。典型的なサイズよりも小さい1cm2のダイ面積であれば、19nm以下のプロセス、より大きなダイサイズであれば、最大で27nm前後のプロセスになるだろう*)。
*)その後のEE Times Japanの取材で、使用しているプロセスノードは20nmと判明[関連記事:3D XPointの製造プロセスは「20nmからスタート」]
IntelとMicronの秘密主義は、要素技術である3D XPointに関するさまざまな臆測を呼んでいる。Intelの不揮発性メモリ部門でゼネラルマネジャーを務めるRob Crooke氏と、MicronのCEOであるMark Durcan氏は、3D XPointを“根本的なブレイクスルー”と表現した。両氏は3D XPointについて、非フィラメント性質を示す“バルクスイッチング”であるとも説明した。
Intelは3D XPointは「ReRAM」(Resistance Random Access Memory/抵抗変化メモリ)と表現すべきではないと明言しているが、何がReRAMで何かそうではないのかを分類する定義は正式には存在しない。また、Intelは3D XPointメモリセルがバルク材料の抵抗の変化を通じて動作すると述べた。最も広く定義すれば、3D XPointをReRAMと見なすこともできるが、一方でそれが相変化メモリである可能性も残されている。
相変化メモリが材料を流れる電流から進む熱パルスに由来することを踏まえると、筆者は自分が相変化メモリを“バルク現象”と表現するようになるかについても分からない。だが、十分に小さいクロスポイントでは、相当量の活物質が相変化を受けていると言うこともできる。
また、3D XPointと、以前発表されたPCMSの物理的なレイアウトのダイアグラムには類似点がある。PCMSは相変化メモリとセレクターダイオードを積層して作られたメモリである。
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