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IntelのAltera買収、その行方は?(後編)M&Aでは“黒歴史”も持つIntel(1/2 ページ)

IntelのAltera買収の狙いは、通信分野にもあるとみられている。これまで、買収した企業の価値を生かし切れずに売却せざるを得ない状況になったこともあるIntelだが、Altera買収は「プラスに受け止めている」と話すアナリストもいる。

» 2015年08月31日 11時50分 公開
[Junko YoshidaEE Times]

 前編では、Intelが派手な買収を繰り広げていたことをお伝えした。

 当時の買収戦略は必ずしもうまくいったわけではなかった。だが、Intelは教訓を得つつあるのかもしれない。

 Forward Conceptsでプレジデントを務めるWill Strauss氏は、EE Timesに対し、「以前の経営体制下では、Intelの買収方針への評価は低かったが、同社はここ5年ほどの間で買収についてより慎重になったようだ」と話した。

 Strauss氏の考えでは、「何を手に入れたいのか」と「それはなぜか」を正確に知ることが、M&Aの最初のステップである。Strauss氏はIntelが通信分野に再び参入したがっているとした上で、「私の意見では、それがIntelがAlteraを買収したい理由だ」と述べた。

通信分野への挑戦

 例えばIntelは、携帯電話機用モデムチップを手掛けるべく、Infineon Technologiesの無線事業部門の買収を2010年に発表し、2011年1月に取引を完了している。

 Insight 64で主任研究員を務めるNathan Brookwood氏は、「Infineonの買収の成果を判断するには少し早過ぎる。だがIntelは明らかにこの買収に資金を注いでおり、買収で得たスマートフォン・タブレット端末向けSoC(System on Chip)『SoFIA』に大きな期待を寄せている。一方で、Infineon出身で、無線事業部門を率いていた Hermann Eul氏は既にIntelを去っている」と述べた。

 Intelは、既に買収していたBlue WonderのLTEモデム技術と、Infineonの既存の2G/3Gモデム技術を苦労の末に統合した。Strauss氏は、「その結果、Infineonの無線事業を買収したことは、Intelについに技術的な成功をもたらしつつある」と分析している。ただし、「この新しいマルチモード対応モデムで勝負できる市場を見つけることには、まだ苦労しているようだ」と続けた。

photo Intelのモバイル通信グループは現在、ドイツ・ミュンヘンにあるInfineonの敷地内に本拠地を置いている(著者が撮影)

Alteraも通信分野に注力

 さらに無線インフラ分野では、IntelはAlcatel-Lucentと提携して、ネットワーク機能仮想化や、C-RAN(Cloud Radio Access Network)の開発を進めている。

 結局のところ、M&Aの成功は、買い手の企業が自社の戦略を遂行すべく、どれだけ切実かつ真剣に特定の技術を必要としているかによるところが大きい。

 Strauss氏は「サーバで必要なベースバンド機能には高性能なDSPが必要であることから、IntelのXeonが他社製品に競合するのは難しい状況である」と述べている。AlteraのFPGAでネットワークの物理層を動作させれば「Intelのサーバの性能は高まる可能性がある。AlteraのFPGAの最大市場が、通信用途向けのDSPにあるのは偶然ではない」と説明した。

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