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製品アーキテクチャによる差別化と競争優位性勝ち抜くための組織づくりと製品アーキテクチャ(8)(1/4 ページ)

今回は製品アーキテクチャの概念的な部分から、差別化や価値をいかに設計に組み込むかについてお伝えしたい。皆さんの企業と顧客の製品がどのタイプのアーキテクチャを持つかが、自社を優位に立たせる観点で重要だ。デジタル家電や自動車業界の例から、電機業界が進むべき方向を考察する。

» 2015年09月30日 09時00分 公開
[世古雅人EE Times Japan]

 今回も? 前半は概念的なものが多く、既に製品開発に関わっている皆さんからすれば、「そんなの当たり前だよ」といわれるものも多いかもしれない。しかし、この概念的な部分を割愛してしまうと、その後にお伝えしたい「差別化をいかに設計に組み込むか」「価値を埋め込むか」がぼやけてしまうこともあり、あえて、読むことがしんどい内容を述べることをご了承いただきつつ、お付き合い願いたい。

製品アーキテクチャの基本パターン

 製品において、最終製品あるいは、製品内部構成がインテグラル型なのか、モジュラー型なのかにより、製品の特徴、業界における位置付け、とるべき戦略が変わってくる。

 最終製品(外)と製品を構成するモジュール(中)が、インテグラル型とモジュラー型による組み合わせが考えられ、4つの基本パターンとなる。これらを模式的に示したものが図1である。

図1:製品アーキテクチャ(4つの基本パターン) (クリックで拡大)

(a)中インテグラル・外インテグラル

 最終製品がインテグラル・アーキテクチャ製品であり、最終製品を構成するモジュールもインテグラル型の場合である。

 自動車業界の自動車と自動車部品との関係性がこれに該当する。部品メーカーは自動車メーカー向けの特殊部品を作っているが、特殊性ゆえに量産効果が低く収益性が低いのが一般的である。二輪車メーカーも同様である。

(b)中インテグラル・外モジュラー

 最終製品がモジュール・アーキテクチャ製品であり、構成するモジュールがインテグラル型の場合である。

 自転車業界では、例えば自転車のギア部品や釣りのリールなどのメーカーであるシマノの他、CPUメーカーであるインテル、電子部品メーカーの村田製作所なども同様である。

(c)中モジュラー・外インテグラル

 最終製品がインテグラル・アーキテクチャ製品であり、構成するモジュールがモジュール型の場合である。

 例えば、計測機器メーカーのキーエンスでは、顧客の現場まで入り込み、コンサルティングなどによる潜在ニーズの発掘と解決をウリにしている。既存の計測機器の業界標準品を組み合わせることで開発し、ソリューションサービスという付加価値を付ける。また、ジェットエンジンを製造・供給しているGE、カスタムLSIメーカーのローム、小型モーターのマブチモーターもこのタイプに該当する。

(d)中モジュラー・外モジュラー

 最終製品がモジュール・アーキテクチャ製品であり、構成するモジュールもモジュール型の場合である。

 一般に汎用品といわれる製品が該当する。DRAMなどのメモリ、グレード鋼、樹脂などである。

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