STMicroelectronics(STマイクロエレクトロニクス)は、車載マイコン市場でのシェア拡大を目指すべく、同社の車載向けマイコンコアを、従来の「Power Architecture」から「ARMv8-R」に移行していく考えだという。
STMicroelectronicsは、今後10年以内に車載マイコンメーカーとして世界第3位の座を獲得することを目指していく上で、同社の車載マイコン事業の成長を、ARMの新しい32ビットアーキテクチャ「ARMv8-R」に託していく考えだという*)。
*)関連記事:ARMが放つ車載プロセッサ市場への刺客、「ARMv8-R」は仮想化でECU統合を実現
STMicroelectronicsは、2006年にFreescale Semiconductorとの間で協業関係を構築して以来、高性能でコスト効率の高い、「Power Architecture」ベースの32ビット車載マイコンの開発に取り組んできた。そして現在、自動車市場をターゲットに、ARMと完全に歩調を合わせて進んで行く方向に切り替えようとしているところだ。
STMicroelectronicsは2015年9月29日(スイス時間)、ARMにとって初となる本格的な車載向けマイコンコアARMv8-Rのライセンス供与を受けたことを発表した。STMicroelectronicsは、ARMv8-Rを32ビットマイコンに適用する予定で、リアルタイムの安全性を確保したスマートな運転技術向け用途や産業用途などをターゲットとしていくという。
STMicroelectronicsは、既存のPower Architectureベースのマイコンについてもサポートを継続していくとしているが、既にARMアーキテクチャへの移行を開始しているようだ。STMicroelectronicsのADAS(先進運転支援システム)/マイコン事業部門担当ディレクタを務めるMartin Duncan氏は、EE Timesのインタビューに対し、「2017年半ばごろには、当社にとって初となるARMv8-Rベースの製品のサンプル出荷を開始し、2019年半ばまでには完全に量産できると考えている。さらに2020〜2021年には、当社のARMv8-Rベースのマイコンを搭載した自動車が市場投入されるようになるだろう」と語っている。
ARMによれば、ARMv8-Rの正式なライセンス供与を受けたことを発表した企業は、STMicroelectronicsが初めてだ。STMicroelectronicsの他にもライセンス供与先はいくつかあるが、どの企業もそれについて公にしていないという。
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