大阪府立大学や東北大学、九州大学、慶應義塾大学などが研究開発を進める「Reading-Life Log」プロジェクトは、2015年10月7日〜10日に開催された「CEATEC JAPAN 2015」で、指先で文字を読む技術を応用したデモを行った。本記事では、そのデモの様子を紹介する。
「人間が日々見ている物理空間の文字を自動的に認識できたら、私たちの生活は大きく変わるだろう。私たちはそれを『Reading-Life Log』と呼んでいる」――。
大阪府立大学や東北大学、九州大学、慶應義塾大学などが研究開発を進める「Reading-Life Log プロジェクト」は、文字や文書メディアの新しい利用基盤技術の開発とそれに基づく人間調和型情報環境の構築を目指している。
同プロジェクトは、2015年10月7日〜10日に開催された「CEATEC JAPAN 2015」で、指先で文字を読む技術を応用した薬剤師が薬をとり間違えないために補助するシステムのデモを行った。本記事では、そのデモの様子を紹介する。
デモは、指先にカメラを取り付けた機器が、処方箋に書かれた薬の名前を読み取るところから始まった。認識の順序は、どこに文字領域があるのかを最初に認識し、その後どんな文字なのかを判断する流れだ。「人間は脳が自動的に行ってくれるが、PCにこれらのステップを1つ1つ行わせるのは、非常に難しい」(Reading-Life Logプロジェクト)という。例えば、口と田という漢字を認識するときは、私たちの目には違いが分かるが、PCで認識すると田は口が4つあるかのように認識してしまうといった難しさがある。
読み取った情報は、OCR(Optical Character Recognition)エンジンに入力され、あらかじめデータベースに入力されている薬の情報と照合される仕組みだ。今回のデモでは、従来と比べてカメラの改善と文字認識のアルゴリズムを工夫したことで、認識率を高めたという。従来は広角カメラを使っていたが、今回は内視鏡に似た撮影範囲の狭いカメラを使用。「得られる情報は限られてしまうが、その分不必要な環境情報を削除したことで精度を上げられた」(同プロジェクト)と語る。
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