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有機材料が“ムーアの法則”を延命するドレスデン工科大が取り組み加速(1/2 ページ)

ドイツのドレスデン工科大学が、有機材料を用いたデバイスの開発を加速させている。同大学の教授は、「ムーアの法則が7nmプロセスに達する頃には、有機半導体が、情報時代の原油になるだろう」と近い将来、有機材料によるデバイスが主流になるとみている。

» 2015年10月15日 10時00分 公開
[R. Colin JohnsonEE Times]

有機材料、7nm世代で主流に?

 「SEMICON Europa 2015」が2015年10月6〜8日、ドイツのドレスデンで開催された。今回のテーマは、フレキシブル/透明エレクトロニクスだ。会場近郊にあるドレスデン工科大学(Technical University of Dresden)も、この分野における取り組みを進めていて、2017年にかけて政府から3800万米ドルの資金提供を受け、有機デバイスの利用を実現すべく全力を尽くしていくという。ドレスデン工科大のCenter for Advancing Electronics Dresdenの研究者数は合計60人だが、11の研究施設と協業することにより、有機/透明/フレキシブルエレクトロニクスを専門とする科学者を合計で300人、確保しているという。

 同大学で有機デバイス学科長を務めるStefan Mansfield氏は、EE Timesの独占インタビューに応じ、「ムーアの法則が7nmプロセスに達する頃には、有機材料が、情報時代の原油になるだろう。われわれは現在、有機材料を用いてCMOSを増強することが可能な、インフラを構築しようとしているところだ。シリコンナノワイヤや、再構成可能(リコンフィギュラブル)な有機回路、カーボンナノチューブなどを利用することにより、7nm以降のプロセス技術の実現を目指している」と述べている。

ドレスデン工科大学のStefan Mansfield氏は、有機材料により7nm世代以降もデバイスは進化するという 出典:ドレスデン工科大学

異なる分野との融合を促進

ドレスデン工科大学が開発を進めている透明デバイス (クリックで拡大) 出典:ドレスデン工科大学

 Mansfield氏によると、このような目標を実現するには、透明エレクトロニクスを情報処理に応用し、科学信号を処理する最先端エレクトロニクスやCPUを利用してDNA足場を実現すればよいという。大規模なシステムにおいて、このような異なる分野の技術を取り扱うには、高い適応力とエネルギー効率、フェイルセーフ設計などが不可欠だ。これらはまさに、ドレスデン工科大が現在、物理学者や科学者、生物学者、コンピュータ科学者、電気技師など、さまざまな分野の専門家から成る研究チームと共に、未来に向けて進めている取り組みそのものである。

 Mansfield氏は、EE Timesのインタビューに対し、「有機デバイスの進展は遅いが、コストは極めて低い。単結晶シリコンとよく似た規則構造を採用することにより、進展を加速させたいと考えているが、まだ実現には至っていない」と述べている。

 また、同大学のJeronimo Castrillon教授も、こうした取り組みに参加している。情報処理方法を適応させることにより、CMOSの限界を克服することが可能な有機デバイスの実現を目指しているという。

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