今回はNVIDIA Blackwellアーキテクチャを採用した「GeForce RTX 5000」シリーズと、RDNA 4アーキテクチャを採用したAMDの「Radeon」シリーズを紹介する。どちらも、チップ内部の機能配置や端子構成が大きく変わる「ビッグチェンジ」の製品となっている。
半導体の開発サイクルは、他産業と同じく数年に一回のビッグチェンジとほぼ毎年のマイナーチェンジが繰り返されている。スマートフォン向けのように毎年新プロセッサを発売するものもあるが、詳細を見ればCPUやGPUのバージョンだけが置き換わっているなど、IP(Intellectual Property)置き換えだけというものも多い(いわゆるビッグマイナーチェンジ)。スマートフォンプロセッサにはCPU、GPU、NPU以外にも多くの機能が搭載されている。動画処理、オーディオ処理、ディスプレイ処理などの他、セキュリティエンジンやセンサーハブコントローラーなども1つのシリコンに搭載されている。
シリコンの半分はCPUなどの演算器だが、残り半分は、上記のようなペリフェラル機能。ペリフェラルはコモディティ化された機能が多いので、新チップでも置き換わることなく、そのまま使われている。当社は継続的に最新シリコンを入手し開封解析を行っているので、各社のビッグチェンジはシリコンを見れば一目瞭然だ。
チップ内部の機能配置や端子構成が大きく変わるビッグチェンジは、各社が数年に一回行っている。最も顕著だった事例はAppleの「A12 Bionic」から「A13 Bionic」だ。CPUの位置が大きく変更されている(A16とA17でも大きな変更あり)。MediaTekの「Dimensity」も1000番台から9000番台では見た目から各IPの配置まで大きく変わった。ビッグチェンジ以降は、CPUやGPUのバージョンアップに伴う進化(置き換えに伴う進化)となっている。ArmなどIPメーカーのCPUやGPUの開発ロードマップ、DRAMインタフェースの進化に合わせて数年間をひとくくりとし、IP置き換えで最も作業効率の良い、数製品先を見越したフロアプランを行っている可能性もあると思われる。NVIDIAやAMDのGPUも数年に一回のビッグチェンジとマイナーチェンジを繰り返している。
そして、2025年はビッグチェンジイヤーだ。NVIDIAは新アーキテクチャ「Blackwell」を採用したGPUを、AMDも新アーキテクチャ「RDNA 4」を採用したGPUを2025年第1四半期(1Q)に、一斉に発売した。両者の前モデルは2022年4Qから発売されている。今回はNVIDIA、AMDの新GPUについて報告したい。なおVRAMインタフェースのチャンネル数などは本稿では省略する。
図1は、弊社で解析したNVIDIA Blackwellを搭載した「GeForce RTX 5000」シリーズの一部である(これ以外にも入手し解析を行っているが省略)。1月にハイエンド、2月にミドルハイ、4月にミドル、7月にエントリーと従来と同じ順番で発売された。近年は多くの製品でハイエンドから発売(AppleやGoogle、Samsung ElectronicsなどのスマートフォンもProモデルからリリースされ、数カ月後にエントリーモデルがリリースされている/Apple 16 Proは2024年9月、16eは2025年2月、Google Pixel 9 Proと9aも同様)されている。
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