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シリコンラボ初代CMOが語る“IoT時代の戦略”Threadが日本でも普及?(2/3 ページ)

» 2015年11月16日 15時45分 公開
[庄司智昭EE Times Japan]

製品レベルのソフトウェア

EETJ 世界シェア上位のマイコンメーカーの多くも、低消費電力をうたいながら、マイコンと無線IC、センサーを組み合わせたシステム提案に注力しています。

Grieshaber氏 “コネクティビティ”“低消費電力”をうたうメーカーは多いが、シリコンラボの提供している水準は、競合と一線を画している。

 例えば、コネクティビティでは、多くの無線通信規格に対応する「マルチプロトコル」を実践している。当社の考えとしては、1つの無線規格が世界中を支配することは考えていない。さまざまなプロトコルが適材適所で使われていくわけであり、それらをサポートできるメーカーは多くはない。

 さらに、コネクティビティで他のチップベンダーとの決定的な違いがある。それは、チップベンダーとしては異例といえるほどに、ソフトウェアの質を重要視している点だ。通信ソフトウェアの出来不出来は、IoT機器自体の開発期間を大きく左右する要素となる。ユーザーは、すぐに製品に搭載できる通信ソフトウェアを強く求めていて、そうした質の良いソフトウェアを提供できるかどうかが、無線チップを販売する上での重要なカギであり、シリコンラボは歴史的に積極的な投資を行ってきた。

 ZigBeeに関しては、品質の基準として認定されているスタックを持っている。Bluetoothに関しても、2015年2月にブルーギガ(Bluegiga)テクノロジーズを買収し、非常に優れたスタックを手に入れている。当社が提供するソフトウェアは、量産製品にそのまま搭載しても何ら問題のない検証済みの完成されたソフトウェアであり、その点で、サンプルコードとして提供する他社とは決定的に違う。

シリコンラボのソフトウェア提供としての強み (クリックで拡大) 出典:シリコンラボ

既存資産活用可能なThreadに期待

EETJ “コネクティビティ”“低消費電力”といった強みを生かした製品で、これから販売増を期待される製品を教えてください。

Grieshaber氏 IoTの無線規格として、昨今、急速に注目度が高まっているThreadに関連した製品に期待している。

 Threadの利点は、いくつかあるが、一言で言えば「既存の資産を有効活用できる」ということだろう。

Threadの概要 (クリックで拡大) 出典:シリコンラボ

 ZigBee同様、2.4GHz帯、IEEE 802.15.4ベースのメッシュ対応無線で、既存のZigBee端末であればOTA(Over The Air/無線経由)で、Threadにアップグレードできるほどだ。

 加えて、IPv6にも対応しているため、無線LANなどのソフトウェア資産をそのまま流用できる。IoTでは、セキュリティの確保が課題になっているが、Wi-Fiで培われた強固なセキュリティ技術が使える点は大きな利点と言えるだろう。

 シリコンラボは、規格策定を行う「Threadグループ」の1社であり、既に、Thread対応システムの評価、構築にすぐに着手できる通信モジュール、ソフトウェアなどをソリューションとして提供できる体制にある。

Threadネットワークを活用したデモ。スマートフォンを通して、20台のLEDを制御できる。Threadは、IPアドレスを利用するので、Wi-Fiでつなぐだけで簡単に操作することが可能になる (クリックで拡大)

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