IoT(モノのインターネット)機器の標準化団体であるOICが、UPnP(Universal Plug and Play)フォーラムを吸収合併する。ただし、「OICはAllSeen Allianceと歩調をそろえて、Googleの『Thread』やAppleの『HomeKit』に立ち向かうべきだ」と主張する専門家もいる。
IoT(モノのインターネット)向け端末に関する標準化団体「Open Interconnect Consortium(OIC)」が、UPnP(Universal Plug and Play)フォーラムを吸収合併すると発表した。OICがUPnPの資産を獲得し、両組織の技術を融合させていくという。UPnPフォーラムは、1999年の設立以来、PCと周辺機器を無線LAN経由で自動接続するための規格の策定に取り組んできた。OICは、広く普及しているUPnPのサービス/デバイス検出ソフトウェアを取得して、UPnPフォーラムメンバーの多くを確保することにより、IoT向けアプリケーション層ソフトウェアスタックをより強固にしていきたい考えだ。
半導体業界の次なるけん引技術とされているIoTは、現在、数多くのプラットフォームやネットワーク、プロトコル、フレームワークなどが混在し、その進展が妨げられている状態にある。OICは今回の合併合意により、最も近いライバルであるIoT関連のコンソーシアム「AllSeen Alliance」に対して優位に立つことになる。しかし、IoT市場の2強であるGoogleの「Thread」とAppleの「HomeKit」を超えられるような影響力を獲得できるかどうかはまだ不明だ。
AllSeen Allianceのソフトウェアフレームワーク「AllJoyn」技術の提唱者たちはこれまで、OICと合併すべきだと主張してきた。しかし今回、OICがUPnPのサービス検出手法を採用することになったため、このような合併に向けた動きが進んでいくことはもうないだろう。UPnPのサービス検出手法は既に広く普及している上、AllJoyn技術とも機能面で良く似通っているからだ。
AllSeen Allianceは現在、185社を超える参画メンバーによって、規格に準拠した製品が出荷されていることから、市場をリードする存在となっている。一方、OICも参画メンバーは約100社で、2016年1月に開催される「2016 International CES」において、最近承認されたばかりの規格を初めて採用した製品を発表する予定だという。OICとAllSeen Allianceはいずれも、Linux Foundationが設立した団体である。
OICは、今回のUPnPとの合併により、参画メンバー数を約100社から倍増させることになる。UPnPには1000社を超えるメンバー企業が参加しているが、OICは、そのうち会費を支払っていない基本レベルのメンバーである約840社に対しては、サポートを提供しないという。UPnPのメンバー企業は、OICに参加するかどうかを選択することができる。
資産譲渡の手続きは、2015年末までに完了する見込みだ。OICでエグゼクテイブディレクタを務めるMichael Richmond氏は、「OIC会員契約について各社に検討してもらい、2016年第1四半期には、新生OICのメンバーを発表できる見込みだ」と述べている。
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