過去を振り返ってみると、うまくいかなかったM&Aも多い。
最悪の結果を招いた事例の1つが、2010年のルネサステクノロジとNECエレクトロニクスの合併だ。この合併は、“日本の半導体業界の救済”という名目の下、半ば強制的に実施されたものだった*)。
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日立製作所と三菱電機の半導体部門から分社統合されていたルネサステクノロジと、NECエレクトロニクスとの合併によって、ルネサス エレクトロニクスが誕生した。
だが、ルネサス エレクトロニクスは決定力のあるリーダーシップに欠けていたために、3社の半導体部門の統合には必要以上に長い時間がかかった。各社間の給与の不均衡を埋め、各社の重点プロジェクトを整理するために多くの時間とエネルギーが費やされ、従業員の不満が高まった。
Lineback氏は、最大の失敗例として、Intelが1999年に実施したLevel One Communicationsの買収(買収額は22億米ドル)を挙げている。
この買収は、1990年代の末期に行われた。当時のIntelにとっては過去最大規模の買収で、通信/ネットワーキングIC市場の主要プレーヤーとなることを狙ったものだった。「だがLevel One Communicationsのマネジャークラスの人員を相当数解雇したことと、製品の統合の遅れは、買収した事業を蝕んでいった」(Lineback氏)。
「Level One Communicationsの社風をIntelになじませることは容易ではなかった。2001年にドットコムバブル(インターネットバブル)がはじけ、22億米ドルの買収案件に大きな損害を出した。
Lineback氏は、「この事例は古いもので、現在のIntelの社風は柔軟なものになっていると思う。スマートフォンやタブレット端末市場でARMを相手に苦戦してきたからかもしれない。Alteraの買収は、よりスムーズに進むだろう」と続けた。
【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
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