サイプレス セミコンダクタは、Bluetooth 4.2仕様に対応したプログラマブルシステムオンチップ(PSoC)とプログラマブルラジオオンチップ(PRoC)を発表した。全ての機能に対応したBluetooth 4.2認証チップは初めてという。
サイプレス セミコンダクタは2015年12月、Bluetooth 4.2仕様に対応したプログラマブルシステムオンチップ(PSoC)とプログラマブルラジオオンチップ(PRoC)を発表した。全ての機能に対応したBluetooth 4.2チップの認証は初めてという。高いセキュリティやプライバシー保護を必要とするIoT(モノのインターネット)機器などの用途に向ける。
同社はこれまで、Bluetooth 4.1仕様の無線機能を集積したPSoC「PSoC 4 BLE」やPRoC「PRoC BLE」を提供してきた。また、ICチップに加えてPSoCベースのモジュールや開発/評価キット、リファレンスデザインキットなども用意している。
新製品は、Bluetooth Low Energy(BLE)の最新仕様となるBluetooth 4.2にフル対応したPSoC 4 BLE「CY8C4xx8-BL5xx」と、PRoC BLE「CYBL11x7x」である。Bluetooth SIGの認証も取得しており、すでにサンプル品の出荷を始めている。
Bluetooth 4.2仕様は、これまでの4.1仕様に比べて、主に3つの仕様変更が行われた。1つはデータ長が拡大した。パケットサイズは4.1仕様の27バイトから、4.2仕様では251バイトまで拡大された。これによって、データレートは最大800kビット/秒となり、従来の2.5倍に向上した。2つ目はプライバシー保護の機能が強化された。アドレスの暗号化により、トラッキングなどを防止することができる。3つ目はセキュリティの機能が強化された。楕円暗号方式の採用により第三者からの盗聴攻撃などを回避することが可能となる。
これらの仕様変更に対して、新製品は全ての機能に対応したICである。Bluetooth 4.2対応のプロトコルスタックとプロファイルは、新しい「BLE Component」としてPSoCに組み込まれている。同社の統合開発環境(IDE)「PSoC Creator」を用いると、BLE Componentがアイコンとして表示され、それをドラッグアンドドロップするだけで、4.2仕様のPSoC 4 BLEを設計することができる。パケットサイズやプライバシー保護機能、セキュリティ機能の設定/変更などもIDE上で容易に行うことができる。Bluetooth 4.2対応ICチップは他社からもすでに発表されているが、「3つの仕様変更に全て準拠し、フル機能で認証を取得しているICは現時点で当社のみ」という。
PSoC 4 BLEは、4.2仕様のBLE無線ブロックの他、32ビットARM Cortex-M0コアや256kバイトフラッシュメモリ、プログラマブルなデジタルブロック及びアナログブロック、独自の静電容量タッチセンシング機能「CapSense」などをワンチップに集積した低消費電力のSoCである。PRoC BLEは、PSoC 4 BLEからオペアンプなどいくつかのアナログコンポーネントを取り除いた製品となる。オペアンプなども集積しており、他社製のICなどに比べて、外付けする部品点数を節減することが可能となる。
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