IDTの社長兼最高経営責任者(CEO)を務めるGregory L. Waters氏が2015年12月15日、都内で会見し、自動車向けビジネスの売り上げ規模を5年後に、現状の5倍以上となる4億〜5億米ドル程度へ引き上げるとの方針を示した。
IDTは、2015年12月7日に、ドイツの半導体メーカーであるZMDI(Zentrum Mikroelektronik Dresden)の買収を完了させた。買収総額は、3億700万米ドルだ。
IDTの社長兼最高経営責任者(CEO)を務めるGregory L. Waters氏は2015年12月15日に都内で行った会見で、「ZMDIの買収により、シグナルコンディショニング、パワーマネジメントといった製品が新たに加わり、ポートフォリオが強化された。顧客層に関しても相互補完関係にあり、顧客数は大きく拡大した」と語り、事業領域を広げることを狙った買収であるとした。
特に、ZMDIの買収で期待するのが、これまでIDTとして本格的な展開をしてこなかった自動車市場での事業規模拡大だ。ZMDIは、車載向け半導体を主力とし、現状の年間売り上げ規模8000万米ドルの「ほとんどを自動車向けで売り上げている」(Waters氏)とする。「ボッシュなど地元ドイツ企業をはじめ、多くの自動車メーカー、電装品メーカーとの取引き実績を持ち、良い事業を展開してきた。今後も車載成長市場で成長できる道筋が見えている」とWaters氏は強い自信を示し、「車載ビジネスで5年後には4億〜5億米ドルの売り上げ規模を見込んでいる」と語った。4億〜5億米ドルという規模は、現状のZMDIの売上高8000万ドルの5倍以上に相当し、かなりの急成長を持続するか、新たな企業/事業買収を実施しないと、達成できない規模の数字だ。
しかし、Waters氏は「新たな買収を実施することなく達成できる」と意に介さない。その根拠として、自身が社長兼CEOに就任した2014年1月以来、2年間、急成長を遂げてきたことをWaters氏は挙げた。「われわれは、この2年で売り上げ規模を5億米ドルから8億米ドルへと成長させてきた。4億〜5億米ドルといっても、290億米ドルといわれる車載半導体市場規模からみれば、相当に小さな規模であり、十分に達成可能な数字だ」と語った。
今後、IDTは、これまで注力してきた「データセンサー向け」「通信インフラ向け」「民生機器向け」に加え、「自動車向け」を4本目の柱として強化していく。「4つのアプリケーションともに、IDTの基盤技術である“アナログ/ミックスドシグナル技術”を生かせる領域。パワーマネジメント、タイミング、RF、インターコネクトという主力製品群をこれら4つの市場へ展開し、業界平均をしのぐ成長を継続していく」とした。
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