Cypress Semiconductor(サイプレス セミコンダクタ)が、米国ミネソタ州ブルーミントンに所有する半導体製造工場の売却を検討しているという。ただし、売却後も同工場でCypress製品を量産する予定としているので、工場を購入したメーカーはCypressと供給契約を結ぶ可能性も出ている。
製造施設などの技術資産の整理や売却のサポートを専門に手掛ける米国のATREGは、Cypress Semiconductor(以下、Cypress)からの依頼を受けて、同社が米国ミネソタ州ブルーミントンに置く200mmウエハー製造施設の売却をサポートしている。
同工場は、Cypressが1990年にControl Data VTCから買収したものだ。
ATREGによると、自動車向け製品の生産も手掛けるこの製造施設は、床面積8万平方フィート(約7400m2)のクリーンルームを保有し、ウエハーの生産能力は月産で1万6700枚だという。設備の数は416台としている。なお、同工場を購入する場合、Cypressと複数年の供給契約を結ぶ可能性があるという。
この製造施設は現在、Cypress Foundry Solutionsが使用していて、0.35μm〜90nmまでのプロセスノードが適用されている。
ATREGの資料によると、同工場は、米国政府から「Trusted Foundry(信用できるファウンドリ)」として認定されているため、機密性の高い製造プロジェクトにも十分に対応できる。さらに、米国内では数少ない200mmウエハーの製造ラインも手に入るというメリットがあるとしている。
イスラエルのファウンドリであるTower Semiconductor(TowerJazz)はここ数年で製造資産を積極的に買収していて、最近も200mmウエハーの製造施設をMaxim Integrated Productsから獲得したばかりだ。
Cypressの広報担当者は、EE Times Europeへのメールの中で「当社は、ミネソタ州ブルーミントンの『Fab 4』を売却する方向で、専門コンサルタント会社に依頼している」とコメントした。続けて、「Cypressは売却後もFab4での製造を継続することを計画しているため、当社が従来顧客に提供してきた高品質と迅速なサイクルタイムを維持できる戦略的なパートナーを求めている。この点を考慮し、今回の売却には決まったスケジュールを組んでいない。ブルーミントンの製造施設にはおよそ450人の従業員がいるが、彼らもこうした背景を理解している」と説明した。
【翻訳:青山麻由子、編集:EE Times Japan】
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