産業技術総合研究所コンソーシアム・ファブシステム研究会(以下、産総研コンソーシアム)とミニマルファブ技術研究組合は、「SEMICON Japan 2014」(2014年12月3〜5日)で、ミニマルファブ向けの製造装置を実演展示した。「メガファブ」と呼ばれるこれまでの半導体製造工場に比べて、設備投資コストを1/1000に抑えることが可能になるという。
産業技術総合研究所コンソーシアム・ファブシステム研究会(以下、産総研コンソーシアム)とミニマルファブ技術研究組合は、「SEMICON Japan 2014」(2014年12月3〜5日、東京ビッグサイト)で、ミニマルファブ向けの製造装置を実演展示した。半導体チップの製造に0.5インチウエハーを用いることで、「メガファブ」と呼ばれるこれまでの半導体製造工場に比べて設備投資コストを1/1000に抑えることが可能となり、多品種少量/変種変量生産にも柔軟に対応できる製造ラインを構築することができるという。
産総研コンソーシアムが提唱し、関連企業が装置開発に取り組むミニマルファブは、製造のための設備投資コストを桁違いに下げ、需要に合った生産能力を持たせることができる製造システムの実現を目指している。直径300mmウエハーを使って製造する既存のメガファブは、1ライン構築するのにほぼ5000億円の投資を必要とするのに対して、ミニマルファブでは、およそ5億円で済むという。
ミニマルファブは、0.5インチ(実際は直径12.5±0.2mm)ウエハーを使って製造する。各製造装置の幅は294mmに統一した。これによって最低300mmピッチで装置の連結配置を可能とする。また、局所クリーン化生産システムを開発し採用することでクリーンルームレスを実現可能とした。製造装置は家庭用100V電源で駆動することができ、オフィスフロア程度のスペースがあれば、半導体チップの製造ラインを設けることが可能だ。
露光装置やレジスト装置、洗浄装置、現像装置、加熱装置などミニマルファブに必要な製造装置もほぼ出そろった。一部装置については2013年より受注を始めている。「既にミニマル装置を導入し、トランジスタの製造を始めているユーザーもいる」(説明員)という。
展示ブースでは、マスクレス露光装置やCVD装置、スパッタリング装置、エッチング装置などプロセスごとの製造装置を展示したのに加えて、「CMOSセット」、「P-MOSセット」、「パターニングセット」、「SOIセット」、「MEMSセット」、「検査セット」、「パッケージングセット」など、工程ごとに必要な装置を連結させての動作実演も行った。各コーナーには展示した装置の組み合わせ参考価格(税別)を一例として示した。例えば、CMOSセットは5100万円、パターニングセットが1億400万円、P-MOSセットは1億4750万円となっている。この3つのセットを組み合わせれば、CMOSのICチップを製造することができるという。
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