こうしたライフスタイル部門の構造改革に伴う人員削減規模は、国内2000人、海外4800人に及ぶ。一部人員については、再配置を行うが、大半は早期退職制度などを利用し、東芝を去る見込みだ。
なお今回の経営施策では、コーポレート部門でも国内1000人規模の早期退職優遇制度実施を決定。先に発表した半導体部門の2300人(うち1100人は大分300mmウエハーライン売却先のソニーへの転籍見込み)を合せて約1万人を削減することになる。
さらに、PC事業、白物家電事業に関しては、「自助努力による黒字化」(室町氏)に向けた施策の展開と並行して「他社との事業再編も視野に入れる」(同)とし、PC事業では富士通、VAIOなどとの事業統合、白物家電事業ではシャープなどとの事業統合に向けた交渉を続ける見込みだ。
こうした構造改革費用としては、半導体部門で600億円、ライフスタイル部門で800億円、さらにこの日は改革策の詳細を明かさなかったHDDなど他の事業で900億円、合せて2300億円を計上する見込みとなった。他に資産評価減1100億円や、売り上げ悪化に伴う利益減(約3500億円)を見込み、2015年度の通期営業損益予想を3400億円の赤字に修正。通期純損益予想も5500億円の赤字に修正した。
過去最大の赤字に転落することで、2015年度末の株主資本は4300億円と前年度末より6540億円も減少。株主資本に対する現預金を除いた有利子負債の割合(Net D/Eレシオ)は、前年度末の105%から340%に跳ね上がり、財務体質の改善が急務の状況となっている。
そこで、電力・社会インフラ事業(エネルギー関連事業)とストレージ事業と並ぶ注力事業で、今年度唯一の黒字部門となる見込みのヘルスケア部門の中核会社・東芝メディカルシステムズ(TMSC)の「株を売却する」と室町氏が明言。「(TMSCの株の)少なくとも50%、場合によれば100%を売却する。売却先は、オークションで決定することになるだろう」とした。早期にTMSC株式を売却することで2016年度末には、TMSCの売却額次第としながらも「Net D/Eレシオを150%程度にまで抑えたい」とした。
虎の子ともいえるヘルスケア事業を手放し、家電事業からも国内テレビを除きほぼ撤退へと向かう東芝。室町氏は、「エネルギー事業とストレージ事業を今後の注力領域とする」とした。
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