メディア

東芝 民生大幅縮小、虎の子ヘルスケア売却で生き残り残るのは「ストレージ」と「エネルギー」(2/2 ページ)

» 2015年12月21日 22時10分 公開
[竹本達哉EE Times Japan]
前のページへ 1|2       

リストラ、1万人規模に

 こうしたライフスタイル部門の構造改革に伴う人員削減規模は、国内2000人、海外4800人に及ぶ。一部人員については、再配置を行うが、大半は早期退職制度などを利用し、東芝を去る見込みだ。

一連の構造改革での異動を伴う人員の規模 (クリックで拡大) 出典:東芝

 なお今回の経営施策では、コーポレート部門でも国内1000人規模の早期退職優遇制度実施を決定。先に発表した半導体部門の2300人(うち1100人は大分300mmウエハーライン売却先のソニーへの転籍見込み)を合せて約1万人を削減することになる。

PCと白物は他社との再編を視野

 さらに、PC事業、白物家電事業に関しては、「自助努力による黒字化」(室町氏)に向けた施策の展開と並行して「他社との事業再編も視野に入れる」(同)とし、PC事業では富士通、VAIOなどとの事業統合、白物家電事業ではシャープなどとの事業統合に向けた交渉を続ける見込みだ。

過去最大赤字で、財務体質悪化

 こうした構造改革費用としては、半導体部門で600億円、ライフスタイル部門で800億円、さらにこの日は改革策の詳細を明かさなかったHDDなど他の事業で900億円、合せて2300億円を計上する見込みとなった。他に資産評価減1100億円や、売り上げ悪化に伴う利益減(約3500億円)を見込み、2015年度の通期営業損益予想を3400億円の赤字に修正。通期純損益予想も5500億円の赤字に修正した。

2015年度損益見込み。左が営業損益、右が純損益 (クリックで拡大) 出典:東芝

 過去最大の赤字に転落することで、2015年度末の株主資本は4300億円と前年度末より6540億円も減少。株主資本に対する現預金を除いた有利子負債の割合(Net D/Eレシオ)は、前年度末の105%から340%に跳ね上がり、財務体質の改善が急務の状況となっている。

東芝の財務体質の推移 (クリックで拡大) 出典:東芝

虎の子の売却で、資金調達へ

 そこで、電力・社会インフラ事業(エネルギー関連事業)とストレージ事業と並ぶ注力事業で、今年度唯一の黒字部門となる見込みのヘルスケア部門の中核会社・東芝メディカルシステムズ(TMSC)の「株を売却する」と室町氏が明言。「(TMSCの株の)少なくとも50%、場合によれば100%を売却する。売却先は、オークションで決定することになるだろう」とした。早期にTMSC株式を売却することで2016年度末には、TMSCの売却額次第としながらも「Net D/Eレシオを150%程度にまで抑えたい」とした。

 虎の子ともいえるヘルスケア事業を手放し、家電事業からも国内テレビを除きほぼ撤退へと向かう東芝。室町氏は、「エネルギー事業とストレージ事業を今後の注力領域とする」とした。

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

RSSフィード

公式SNS

All material on this site Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
This site contains articles under license from AspenCore LLC.