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ルネサス横田氏が語る、Synergy/R-INの未来成果が出るのは2017年以降?(1/3 ページ)

ルネサス エレクトロニクスは2015年12月、プライベート展「Renesas DevCon Japan 2015」を開催した。同イベント会場で、売上高の約60%を占める汎用事業を統括する執行役員常務の横田善和氏に、これからの成長戦略などについてインタビューを行った。

» 2016年01月06日 12時00分 公開
[庄司智昭EE Times Japan]

 ルネサス エレクトロニクス(以下、ルネサス)は2015年12月、プライベート展「Renesas DevCon Japan 2015」を開催した*)。同イベント会場で、汎用事業を統括するルネサス 執行役員常務兼第二ソリューション事業本部長の横田善和氏に、IoT機器向け設計基盤「Synergyプラットフォーム」(以下、Synergy)や、産業機器/産業ネットワーク向けプラットフォーム「R-INエンジン」と人工知能を組み合わせたシステム、これからの成長戦略などについて話を聞いた。

*)関連記事:「Synergy」の開発事例を展示――ルネサス

注力分野の成果が出るのは2017年か

ルネサス 執行役員常務兼第二ソリューション事業本部長の横田善和氏 (クリックで拡大)

EE Times Japan(以下、EETJ) 「変革プラン」の策定、実施から約2年が経過しました。汎用事業の進み具合はいかがですか?

横田善和氏 汎用事業は非注力の分野がまだ20%ほど占めている。非注力なので、やはり売り上げが落ちていて、そこは仕方がない。しかし、80%の注力分野に全力で経営資源を投入して、売り上げを伸ばすシナリオを立てているところだ。2016年の汎用事業における売り上げは少し下がると思うが、注力分野を強化しているので、売り上げに反映されていくのは2017年ぐらいと思っている。

EETJ 注力分野はどこになりますか?

横田氏 ルネサスはスマホやPCではなく、社会基盤となるインフラ系に注力しようということで2014年に事業分野を設定した。その中で自動車、産業機器、ホームオートメーション、OA/ICTといった生活の基盤となる部分が大事と思っている。

サービスを起点としたモノづくりに向けたSynergy

EETJ 組み込み開発の新たなアプローチとして、Synergyを展開されています*)

*)関連記事:「半導体業界の“Apple”を目指す」ルネサス

横田氏 Synergyは新しくサービスを起点としたモノづくりとして特徴を出していきたいと思っている。従来のマイコンを使用した既存の顧客ももちろん残る。しかし、ベンチャーやスタートアップなどの新しい顧客は、サービスやアイデアをいかに早く実現するかといった流れが出てきている。こちらは、マイコンや検証済みソフトウェア、開発環境を一式提供するSynergyが良いのではないかと思っている。

「Renesas Synergyプラットフォーム」の構成イメージ 出典:ルネサス

EETJ Synergyプラットフォームでは新しく4シリーズのマイコンを開発されています。従来より展開されているマイコンでは駄目だったのでしょうか? また、従来のマイコンと並行して開発するデメリットはないのでしょうか?

横田氏 Synergyのマイコンは顧客の開発環境にのせながら開発しているので、従来型の組み込みに使用するマイコンとは違ってくる。並行して開発するデメリットも特にないと考えている。顧客のビジネスの起点が多様化していて、全ての顧客がサービスから開発するわけではないし、既存のビジネスを持つ顧客もいて、従来のマイコンを継続強化してほしいという要求が多くあるからだ。Synergyに関しては現在4種類のマイコンしかないので、ソフトウェアで差異化していく取り組みになるだろう。

EETJ リアルタイムOS(RTOS)ベースのSynergyに加えて、Linuxベースの「RZ/Gプラットフォーム」(仮称)が開発されるといった発表もありました。

横田氏 やはり顧客次第なところで、RTOSベースのSynergyで開発したいというユーザーに加えて、Linuxベースの「RZ/G」*)で同じような環境をそろえてほしいという要求が高くなっていた。RZ/Gは既にハードウェアでは提供されているが、ソフトウェアのパッケージやインタフェースは現在準備しているところである。2016年の中盤には、「RZ/Gプラットフォーム」(仮称)として正式にリリースしたいと思っている。

*)関連記事:UIの表現力向上で機器の新たな価値を創造、ルネサスのHMI用ASSP

組み込み開発の新しいアプローチ (クリックで拡大) 出典:ルネサス
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