ルネサス エレクトロニクス(以下、ルネサス)は、2015年12月10日開催したプライベート展「Renesas DevCon Japan 2015」で、同社の「Synergyプラットフォーム」を活用したソリューションや、ゆがみ補正エンジンを搭載した画像認識など、多数のデモを展示した。
ルネサス エレクトロニクス(以下、ルネサス)は、2015年12月10日開催したプライベート展「Renesas DevCon Japan 2015」で、同社の「Synergyプラットフォーム」(以下、Synergy)を活用したソリューションや、ゆがみ補正エンジンを搭載した画像認識などのデモを展示した。本記事では、展示されていたデモの一部を紹介する*)。
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最初に紹介するのは、ルネサスの産業機器/産業ネットワーク向けプラットフォーム「R-INエンジン」と人工知能を組み合わせたシステムである。R-INエンジンは、32ビットCPUの他、リアルタイムOS(RTOS)とイーサネットアクセラレータをハードウェアとして搭載している。イーサネット通信とCPUの負荷低減を同時に実現したことで、センサーデータのリアルタイム処理/分析能力の向上に貢献するという。
同社は今回、R-INエンジンに人工知能を組み合わせた。人工知能は、クロスコンパス・インテリジェンスの技術を採用。これを工場などの装置(エッジデバイス)に組み込むと、エッジデバイス上で高度なデータ解析や高速なデータ処理/通信ができるようになる。そのため、エッジデバイスで収集したデータをクラウドなどにアップしてから解析する必要がなくなるなど、装置の異常検知や予兆保全を、より効率的に行えるという。同社の那珂工場(茨城県ひたちなか市)で行った実証実験では、異常検知で従来より6倍精度の高い良否判定が可能になったとしている*)。
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デモの説明員は、「今後も実証実験を重ねて、1年後をめどにソリューションとして展開したいと考えている」と語った。また、現在はイーサネットでつないだPCで機械学習を行い、そのデータをR-INエンジンに送る形だが、「今後は、機械学習もR-INエンジンで行えるようにしたい」(同説明員)とした。同社は、R-INエンジンと人工知能の組み合わせが、工場の生産性を向上させる「自律するM2M」を実現するとしている。
次に紹介するのは、マイコンと検証済みソフトウェア、開発環境一式を提供するSynergyを活用したアプリ開発事例である*)。Synergyは2015年6月に発表され、先行して米国での提供が始まっていたが、2015年12月8日に日本国内でも提供を開始したばかりだ。高価な開発ツールを買わなくても、ソフトウェアパッケージで提供されるソフトウェアAPIの上位層をユーザーが開発するだけで、IoT/組み込み機器の開発が可能になるという。デモでは、Synergyを活用したアプリが多数展示されており、いずれもIoT機器の開発が容易に実現できることが分かった。
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