National Instruments(NI)は、ソフトウェアで定義するモジュール型計測器市場をリードするメーカーだ。同社は、IoT(モノのインターネット)機器の台頭により、計測/テストシステムへのニーズに変化が起きていると語る。
システム開発ソフトウェア「LabVIEW」と、モジュール型計測器で構成される計測プラットフォームを提供するNational Instruments(NI)。同社のGlobal Sales & Marketing部門でExecutive Vice Presidentを務めるEric Starkloff氏に、2016年におけるNIの戦略などを聞いた。
EE Times Japan(EETJ) 2016年、NIとして注力したい分野や、注目している分野は何でしょうか。
Eric Starkloff氏 まず、産業用IoT(モノのインターネット)が極めて大きなトレンドとして挙げられる。産業用IoTは、多くの分野にまたがり先端技術をけん引する要素となっている。あらゆるデバイスがインターネットにつながるようになり、それに伴ってソフトウェアに、より重点が置かれるようになっている(ソフトウェアセントリック)。例えば自動車だ。日本にとっても重要な市場である自動車は、これまでよりも一層、インターネットにつながり、ソフトウェアセントリックになっている分野だ。
さらには、IoT自身が、他のトレンドのけん引役になっている。その最たるものがビッグデータだ。さまざまな業界が、ビッグデータをいかにビジネスに活用するかを考え始めている。5G(第5世代移動通信)も同様のトレンドとして挙げられる。5Gがこれまでの世代の通信と大きく異なる点は、膨大な数のモノがインターネットにつながっていくことだ。(2020年には)500億個のデバイスがインターネットにつながっていくとみられている。
EETJ 2016年のグローバルでの戦略について教えてください。
Starkloff氏 米国の企業にとって2015年は、“興味深い”年だった。ドル高の影響を受けて、他の国や地域で売上高が増加していても、米ドルに換算すると伸び悩むという結果になった。これは当社だけでなく米国の企業であれば、どこも抱えている問題だ。2015年第4四半期(10〜12月期)の業績は、まだ発表していないが、2015年通年での売上高は横ばいになる見通しだ。
2016年は、(ドル高という)逆風は幾分和らぐとみている。これに伴い、米ドルベースでの売上高も増加する見込みで、有機的な成長が期待できると考えている。それを達成するための戦略は、これまでと基本的には変わらない。1つ目は、売上高の一定数を研究開発に投入することだ。当社は、同じ業界の競合他社よりも、多くの割合を研究開発に投資している。具体的には、売上高の16%を投入することを目標にしているが、実際は16%よりも多く、17%に近い。当社は、2200人の開発エンジニアを抱えている。これは、競合他社に比べても多い。
このように研究開発に投資して技術革新を生み出し、顧客が直面している課題を解決できるような製品を開発することが、顧客に貢献することだと確信している。研究開発に対する長期的な投資が、当社の重要な戦略の1つになっている。
2016年も、極めて競争力のある製品を発表していく予定だ。中でも、モジュール型計測器の進化が期待されていると感じている。計測器市場の成長は、全体的には横ばいだ。(競合の)Keysight Technologiesは2015年12月の業績発表で、2016年における計測器市場の成長率は2%と予測していた。モジュール型計測器は、それよりも高い成長率で伸びるとみている。Frost & Sullivan(フロスト&サリバン)のような市場調査会社によると、2016〜2017年は、2桁台の成長を遂げると予想している。NIは、モジュール型計測器のけん引役で、それは今後も変わらない。
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