今回は、リモートアクセスが可能なネットワークを経由してNVMeのホスト/デバイスを接続するための規格「NVMe Over Fabrics」を解説したい。
前回に続き、「フラッシュメモリサミット(FMS:Flash Memory Summit)」から、SSD(Solid State Drive)インタフェースの最新動向に関する講演の概要をご報告する。講演者は、IntelでDirector of Technology InitiativeをつとめるJim Pappas氏。講演のタイトルは「Annual Update on Interfaces」である。
本シリーズ(SSDインタフェースの現在)の前回は、PCIe SSDに向けたホスト・コントローラー・インタフェースの「NVMe」をご紹介した。NVMeはPCIe SSDの性能を最大化するだけでなく、数百台を超える膨大な数のSSDを扱える、ホスト・インタフェースでもある。
ところで、実際に使われている高速なインタフェースや高速なネットワークなどは、PCIeとは限らない。既に設置してある高速のネットワークにも、SSDを接続するケースは当然ながらあり得る。特に重要なのは、リモートアクセス(厳密にはリモートDMA(Remote Direct Memory Access))が可能なネットワークである。
リモートDMAでは、CPUを介在せずに、別のホスト・システムのSSDからデータを直接、読み込んだり、あるいはデータを直接、書き込んだりする。ネットワークを介して別のシステムのSSDに読み出しアクセスするときはふつう、システムメモリにSSDのデータをいったん読み込み、それから、ネットワーク経由でデータを伝送する。このため、CPUの介在と、長い待ち時間が避けられない。リモートDMAでは、このようなボトルネックが解消される。
リモートアクセスが可能なネットワーク(あるいはスイッチドファブリック)を経由してNVMeのホストとNVMeのデバイスを接続する。このために策定中の技術仕様が「NVMe Over Fabrics(NVMeオーバーファブリック)」である。
NVMeオーバーファブリックでは、NVMeとスイッチドファブリックの間に、抽象化層(トランスポート・アブストラクション層)を挟んでデータを変換し、スイッチドファブリックにデータを載せる。スイッチドファブリック経由で受け取ったデータは、再び抽象化層を通して変換される。
NVMeオーバーファブリックで想定しているネットワークは現在のところ、「InfiniBand(インフィニバンド)」「iWARP(Internet Wide Area RDMA Protocol)」「RoCE(RDMA Over Converged Ethernet)」などである。いずれも、リモートDMA(Remote Direct Memory Access)をサポートするファブリックだ。
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