NEO-M8P-2とNEO-M8P-0の外形寸法は、いずれも12.2×16mmである。消費電流は30mA以下を達成している。これに対して、「他社競合製品のサイズは50×70mmで、消費電流は最大300mA」(Kaisti氏)と語る。
RTK技術はこれまでも、測位精度が必要な測量や建築などの用途で実用化されている。しかし、これまで販売されてきた固定局と移動局向けレシーバー開発に向けた他社製の評価用キット(固定局と移動局用が1セット)は、「高精度品で約1000米ドル、精度がやや劣る安価な製品でも約500米ドル」(Kaisti氏)と高価だ。これに対して、NEO-M8P-2とNEO-M8P-0の評価モジュールは、数センチレベルの高い精度を実現しながら安価である。例えば、ベースとローバーの両機能を併せ持つNEO-M8P-2を2個セットにした評価キット「C94-M8P」は399米ドルで提供される。
高精度な測位を行うために必要となる基地局モジュールは、第三者から提供される補正データを活用し代替することもできる。その1つが日本の衛星測位システムである準天頂衛星システム「QZSS(Quasi-Zenith Satellite System)」で提供される測位補強サービスである。これとは別に、北海道では基地局モジュールの代替となるポールが200本設置されている地域があるという。
ユーロブロックスジャパンのカントリーマネージャーを務める仲哲周氏は、「このような測位補強サービスを活用すれば、基地局モジュールをユーザーが用意する必要はなくなり、移動局モジュールを対象となる装置に実装するだけで、高精度な測位が可能となる」と話す。
高精度の測位モジュールは、トラクターなどの農機や建機、セキュリティ業務などに向けた商用ドローン、スポーツ用器具、測量機器などの用途に向ける。「特に日本市場では、農機などへの提案を早急に行っていきたい」(仲氏)と話す。
NEO-M8P-2とNEO-M8P-0は、すでにサンプル出荷を始めている。NEO-M8P-2搭載のアプリケーション基板を2枚セットにした評価キット「C94-M8P」も、サンプル出荷を開始した。NEO-M8Pの量産開始は2016年第3四半期(7〜9月)を予定している。
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