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薄膜の多孔性材料で、ゲート開閉機構を発見ナノサイズのMOF、層間距離を広げて分子を吸着(1/2 ページ)

京都大学や物質・材料研究機構らの研究グループは、結晶をナノメートルサイズに薄膜化することで、分子の吸着機能を発現する「多孔性材料」を発見した。新しいガス分離膜やセンサー材料などへの応用が期待される。

» 2016年03月09日 15時30分 公開
[馬本隆綱EE Times Japan]

 京都大学と高輝度光科学研究センター(JASRI)、物質・材料研究機構(NIMS)、理化学研究所の研究グループは2016年3月、結晶をナノメートルサイズに薄膜化することで分子の吸着機能を発現する「多孔性材料」を発見したと発表した。

 今回の研究成果は、京都大学の北川宏教授や大坪主弥助教、坂井田俊大学院生、NIMSの坂田修身高輝度放射光ステーション長、理化学研究所の高田昌樹グループディレクターらの研究グループによるものである。

 研究グループは、二次元層状ホフマン型錯体と呼ぶMOF(Metal-Organic Framework)について、「結晶サイズがバルク形状だと分子を取り込む性質を示さない。ところが、結晶をナノメートルレベルに薄膜化すると、分子を吸着するという現象を初めて発見した」と主張する。

上部(A)の左図は研究に使用した二次元層状ホフマン型MOFの結晶構造、上部右図はそれを簡略化した構造。下部(B)は結晶サイズの変化とガス分子に対する応答性の変化を示している。バルク状態のMOF結晶は、ガス分子が存在しても全く応答しない。MOF結晶をナノメートルサイズに薄膜化すると、ガス分子を取り込むように構造が変化する (クリックで拡大) 出典:京都大学他

 今回の研究ではまず、Layer-by-Layer法を用いて、配向成長したナノメートルサイズのMOF薄膜を基板上に合成した。薄膜作製では、4-メルカプトピリジンのエタノール溶液に金基板を浸たし、アンカーとなる自己組織化単分子膜を作製した。次のステップで、ピリジンを含んだ鉄イオンと、テトラシアノ白金錯体の2種類のエタノール溶液に、この基板を交互に浸した。この作業を30回繰り返してMOF薄膜を作製した。

二次元層状ホフマン型MOF薄膜の作製プロセス概要 (クリックで拡大) 出典:京都大学他
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