ドイツ ニュルンベルクで開催された「embedded world 2016」(2016年2月23〜25日)において、Infineon Technologies(以下、Infineon)が訴求したのは、IoT(モノのインターネット)機器にいかにセキュリティ機能を搭載するかについてだった。
InfineonのPlatform Security CCS PFS - Chip Card & Securityでシニアマネジャープロダクトマーケティングを務めるTimo Grassmann氏は、「IoTの世界では、セキュリティがこれまでより一層、重要になってきている」と話す。「さまざまなモノがインターネットにつながることで、新しい価値を生み出しているのは事実だが、IoTが息の長い市場となるためには、強固なセキュリティ技術が欠かせない」(同氏)。
セキュリティ技術についてInfineonが注力するのは、「スマートカー」「スマートホーム」「インダストリー4.0」「ICT(情報通信技術)」の4つである。これら4分野向けにInfineonが提供するセキュリティチップが「OPTIGA」である。OPTIGAには、偽造品を判別し正規品と判断するための認証チップである「OPTIGA Trust」ファミリーと、暗号鍵をプロセッサなどとは別個に埋め込むための専用セキュリティチップ「OPTIGA TPM(Trusted Platform Module)」ファミリーがある。OPTIGA TPMは、マイクロソフトの最新のタブレット端末「Surface Pro 4」などに採用されている。
Grassmann氏は、OPTIGAが、ハードウェアベースのセキュリティ技術であることを何度も強調した。「2015年に明らかになったJeep Cherokee(ジープ・チェロキー)のハッキング実験*)は、IoT業界において大きな話題となり、セキュリティへの懸念が高まる要因となった。このハッキング実験からも分かるように、セキュリティ機能をソフトウェアだけで実現するのは不十分である。さらに、ハードウェアであれば、どのような機器にも実装できる」(同氏)。
*)関連記事:Jeepのハッキング問題、ネットの脆弱性が深刻に
Infineonは、30年近くにわたり、ハードウェアベースのセキュリティ技術を提供してきた。2015年会計年度におけるInfineonの売上高は57億9500万ユーロ(旧International Rectifierの売上高を含む)で、セキュリティ技術関連(「Chip Card & Security」)の売上高は6億6600万ユーロである。
embedded world 2016では、OPTIGA Trust/OPTIGA TPMのデモも披露された。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.