日本ナショナルインスツルメンツは、「スマートグリッドEXPO」で、プロセッサとFPGAで構成されたカスタム計測器「CompactRIO」を用いた風力発電を監視するソリューションを展示した。データの記録から処理までを1台で行うため、現場監視の大幅なコスト削減につながるという。
日本ナショナルインスツルメンツ(日本NI)は、2016年3月2〜4日に東京ビッグサイトで開催された「スマートグリッドEXPO」で、プロセッサとFPGAで構成されたカスタム計測器「CompactRIO」を用いた風力発電を監視するソリューションを展示した。同ソリューションは、同社のゴールドアライアンスメンバーであるイー・アイ・ソルが開発したもので、振動や粉じん、音などを検知できるセンサーから得るデータを記録するだけでなく、異常な揺れなどを感知したら機器を停止させるといった処理も可能である。
また、イーサネットやワイヤレス通信を通じて、遠隔のオフィスや事務所などから監視することもできる。スマートフォンやタブレット端末で計測結果を閲覧することも可能だ。CompactRIOは、厳しい工業規格に準拠し、ほこりや粉じんが多い場所でも利用できる。外部PCも必要としないため、システム構築のコスト削減にもつながるという。
イー・アイ・ソルの説明員は、「今までは、計測のためにほこりの除去やファンの制御を行っていたため、電気代が多くかかっていた。CompactRIOはほこりや粉じんが多い場所でも利用可能な堅牢(けんろう)性を持ち、かつ、1台でデータの記録から処理まで行うので、大幅なコスト削減が可能になる」と語った。
カスタム計測器CompactRIOは、プロセッサにARM Cortex-A9(667MHz/デュアルコア)とFPGA「Artix-7」を統合したXilinxの「Zynq All-Programmable SoC」、OSにNI Linux Real-Time OS、拡張シャーシで構成されており(いずれも低価格版の「CompactRIO-9068」)、日本NIの開発環境「Labview」を用いて開発できる。
日本NIのWebサイトによると、CompactRIO-9068は、ARM Cortex-A9の採用により、旧世代の「CompactRIO-9074」と同じ程度の価格で、4倍の性能が得られたという。また、XilinxのFPGAにより、セルあたりの消費電力を半減したとする。CompactRIO-9074と比較して、ロジックセル数は約2倍、DSPスライス数は約4倍である。
日本NIは、2004年に初めてRIOアーキテクチャを採用した製品を投入以降、継続的に製品を拡充している。今回の展示では、「拡張シャーシの数を増やしたことに加えて、OSをLinuxに統一した。これにより、幅広いエンジニアの方々が使える」(日本NI)とした。
日本NIの説明員は、「工事現場などの監視では、今までマニュアルを1回1回見ながら作業を行っていた。しかし、CompactRIOをはじめとした製品を導入することで、現場をスマート化することができ、インダストリアルIoT実現に向けた一歩となるだろう」と語った。
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